伝統の霜月祭 住民ら餅投げ楽しむ 真庭、マルシェ初開催も

霜月祭の餅投げを楽しむ参拝者

 真庭市余野地区の伝統行事「霜月祭(しもつきまつり)」が4日、大津神社(同市余野下)であり、参拝者が餅投げを楽しんだ。過疎・高齢化が進む中でも祭りを継承しようと、住民でつくる実行委が地域の若者らに協力を呼びかけて開催。飲食を販売するマルシェも初めて開かれ、にぎわった。

 霜月祭は毎年12月、神社へ餅を奉納し、餅投げで参拝者に振る舞うのが習わし。約700年前に起源があり九名(くみょう)と呼ばれる当番が中心になって引き継いできたが、継続が困難になって昨春に実行委を発足した。当番制をやめ、地域の子どもや若者と一緒に行う新たなスタイルを模索中で、今年は初めてもち米を余野小(同)児童と栽培し、3日に計90キロをついて丸餅を作った。

 餅投げには地元住民ら約70人が参加。九名の6人が神事を執り行った後、本殿から二手に分かれて勢いよく餅を投げた。住民らは「こっちこっち」「取れた!」などと歓声を上げ、餅に手を伸ばしていた。

 境内に5店が並んだマルシェも、温かいうどんやコーヒーを買い求める家族連れらの人気を集めた。家族3人で訪れた団体職員(42)=同市=は「慣れ親しんだ祭りを残そうと行動してくれる人がいるのがありがたい。地域に新しい風が吹けばうれしい」と話した。

 実行委の入江正親さん(70)は「大勢の人の協力で無事に祭りが終わり、ほっとしている。今後も継承する中で地区内外の人がもっと参加できる方法を探したい」と気持ちを新たにしていた。

境内で開かれたマルシェで温かいコーヒーを求める家族連れら

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