共生社会の大切さ セミナーで訴え 岡山、障害者の権利擁護テーマ

精神障害の当事者らが「共生社会」の大切さを訴えたセミナー

 障害者週間(9日まで)に合わせ、岡山県などは4日、障害者の権利擁護をテーマにした公開セミナーを岡山市内で開いた。地ビール醸造などを通じて精神障害者の自立を後押しするNPO法人岡山マインド「こころ」(倉敷市真備町箭田)の利用者ら7人が、地域と関わりながら暮らせる「共生社会」の大切さを訴えた。

 コーディネーターを務めた同法人の多田伸志代表理事(62)が、2018年の西日本豪雨で浸水被害に遭った醸造所の復旧、ビール販売事業の部分再開といった被災後の歩みを紹介。イベント出店時などに接客を担う40代の男性利用者は「お客さんに自慢のビールを提供して『きょうもお疲れさま』と対等に声をかけることができる生活に大きな喜びを感じる」と話した。

 50代の女性利用者は箭田地区で就学前の子どもを無償で預かり遊び相手になる事業にも触れ「誰かに必要とされ、自分に『役割』があると思えるから体調が優れない時も頑張れる」と強調。その上で「地域の人たちとの一体感や充実感をかみしめながら過ごせる居場所がもっと増え、障害者のまちづくりへの参加が各地で進んでいくことを願っている」と述べた。

 セミナーはオンラインでも配信され、県内の約170人が聞いた。

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