「悲しい すごくいい園なのに」「親身な先生多い」地元では人気の園も…41人が入園希望取り下げ 容疑者1人“発覚後”も担当続ける―静岡・保育士園児虐待事件

静岡県裾野市の「さくら保育園」で園児に虐待をしたとして、当時の女性保育士3人が逮捕された事件。「さくら保育園」を含む系列の4つの保育施設に、2023年度入園を希望していた子どものうち、41人が希望を取り下げたことが分かりました。「さくら保育園」は、地元では、人気の保育園だったといいます。

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<さくら保育園の一時保育を利用していた保護者>

「悲しい、すごくいい園なので。すごくいい先生もいっぱいいるので」

こう語るのは、2歳のこどもを2021年まで「さくら保育園」の一時保育に通わせていた母親。園に悪い印象はないといいます。

<さくら保育園の一時保育を利用していた保護者>

「先生一人ひとり子供を見てくれて、様子を話してくれたり、アドバイスをしてくれたり、イベントも他より多いと思う。親身な先生が多い印象」

2歳のこどもを2021年まで「さくら保育園」の一時保育に通わせていた母親

私立「さくら保育園」では、2022年6月、1歳児クラスの園児に対して、顔を押す、宙づりにするなどの暴行を加えた疑いで当時の女性保育士3人が逮捕されています。

ホームページによると、「さくら保育園」は1981年開設の40年以上の歴史がある園で、園児の定員は120人。保育士を含む職員への心がけをホームページ上にも記載しています。

「初心を忘れない」

「思いやりの心を持つ」

「プロ意識を持つ」

事件後、裾野市内で取材をしていても「いい園だった」という声が多数を占めました。

<裾野市内に住む園児の子を持つ母親>

「(別の保育園の)元保育士の友人から聞いて、『さくら保育園はとても人気あった』と聞いている」

市内でも人気だった「さくら保育園」。事件後、その入園希望に変化がありました。

裾野市は2023年春から子どもを通わせたい保育施設の希望を10月末まで受け付けていました。しかし、「さくら保育園」で園児への虐待があったことが明らかになり、12月16日まで入園先の希望変更を受け付けています。

裾野市によりますと、当初、「さくら保育園」を含む系列の4つの保育施設への入園を望んでいた41人が他の園への変更を希望したということです。

<裾野市 村田悠市長>

「自分の子どもを預けることは自分の魂を預けるのと同じ。このような事があったのは、親としても心配だと、私としてはそう受け止めている」

また、現在、「さくら保育園」と系列の保育施設に子どもを通わせる保護者からは、14件の転園の相談が寄せられています。保護者は、園への不信感、子どもをこのまま通わせることへの不安などを訴えているということです。

暴行の疑いで逮捕された3人の元保育士。そのうち、容疑者の1人は虐待が発覚した後も引き続き、1歳児クラスを受け持っていたことが明らかになっています。

<12月1日の保護者会音声>

<保護者>

「先生って異動させたって話でしたよね。1歳児クラスにいましたよね、先週も」

<保育園側>

「大量に職員が抜けることで、園の影響を考えて、やっていたことが低い『けん責処分』したが、なかなか動かすことができる状況じゃなかった」

園は、虐待行為の発覚後、元保育士2人に対して、出勤停止や「退職勧奨処分」という重い処分だったのに対し、1人は比較的軽い「けん責処分」に。その保育士に引き続き、1歳児クラスを受け持たせた理由について、勤務態度に問題が少なく、職員が大量に抜けることでの園児への影響を考えたなどと園は説明しています。

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