いのちの電話 岡山協会で相談急増 最多ペース、コロナ禍で孤立か

電話で悩みを聞く「岡山いのちの電話協会」の相談員。長引く新型コロナ禍を背景に相談が増えている(同協会提供)

 「岡山いのちの電話協会」(岡山市北区上中野)への自殺に関する相談が過去最多となる勢いで増えている。10月末時点で2253件と、前年同時期(1934件)より1割以上多いペース。同協会では、新型コロナウイルスの感染拡大から3年近くたっても収束が見通せず、サポートを必要とする人が孤立感を深めていることも背景にあるとみている。

 同協会によると、24時間対応を始めた1994年から自殺に関する相談は増加傾向が続き、2016年には初めて2千件を突破。以降は減少に転じたものの、コロナ禍が始まった20年は2129件と再び2千件を超え、21年は2343件と過去最多を記録した。22年はいずれの月も200件以上の相談があり、11、12月の2カ月間で前年を超えるのは確実とみられる。

 相談全体の2割程度が新型コロナの関係。具体的には、会社の業績が悪化して解雇された▽自営の会社の経営が立ちゆかなくなった▽感染対策が徹底されて福祉施設に行けず必要なサービスも満足に受けられない―といった内容で、30~50代の働き盛りからの相談が多いという。

 感染への恐怖などを訴える人が多かった20年に対し「社会経済活動に制限がかかる状況が続いて生活にさまざまな影響が生じ、徐々に追い詰められている感がある」と同協会は指摘する。

 新型コロナ以外では、ウクライナ危機など不穏な社会情勢への不安を挙げる人もいる。さらにこの1、2年に自殺とみられる芸能人の訃報が相次ぎ「自分こそ生きていてはいけない人間だと思い込んでしまう人が増えている」(同協会)という。

 草苅祐子事務局長は「一人一人の置かれた状況や悩みを受け止めて丁寧に対応するとともに、必要なサポートにつなげていきたい」としている。

 相談はボランティアが専用電話(086―245―4343)で24時間受け付けている。フリーダイヤル(0120―783―556)は毎日午後4時~9時と、毎月10日午前8時~翌11日同8時に対応している。

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