「殺す同意も、殺す必要もない」従業員男性の殺害を否認 川口の「遺体なき殺人」 被告人質問で55歳男

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2016年3月、埼玉県川口市内の飲食店で従業員男性=当時(24)=に暴行を加えて殺害するなどしたとして、殺人の罪に問われた、上尾市柏座、無職の男(55)の裁判員裁判の第5回公判が9日さいたま地裁(中桐圭一裁判長)で開かれた。被告人質問で男は「殺す同意もしていないし、殺す必要もない」と殺害を否認した。

 弁護側の被告人質問で男は、「確認したら被害者は動かなくなっていた」と説明。暴行は認めつつ、殺害の関与は否定した。遺体を冷凍庫に運搬したことについては「(共謀した男性から)1日、2日で何とかするから預かってくれと言われた」と述べた。

 焼却を決めた人を検察側から問われると「私です」と回答し、「共謀した男性らと連絡が取れなくなるなどし、自分が処分するしかないと思った」と供述した。

 起訴状などによると、男は16年3月18日ごろ、川口市内の飲食店「ハワイアンバー Lapule」で同店経営者の男性と共謀し、同店従業員の男性に殴る蹴るの暴行を加え、ロープで従業員男性の首を絞めたり踏みつけたりして殺害し、遺体を解体して焼却したとされる。

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