【関東大震災99年】激震、大火で被害拡大 3万3千人犠牲の神奈川で教訓学ぶ 土砂災害、津波も

関東大震災による神奈川の被害実態を解説する武村特任教授=ひらつか市民活動センター

 来年9月で発生から100年となる関東大震災の教訓を学ぶ講演会が10日、神奈川県平塚市内で開かれた。当時の実態に詳しい名古屋大の武村雅之特任教授が「大火災は横浜だけでなく、鎌倉や浦賀、厚木、秦野などでも起きた。土砂災害も多く、津波もあった」と約3万3千人が犠牲になった県内の状況を概観。震源に近く、地盤の悪い地域を中心に被害が深刻化したと報告した。

 地震学が専門の武村さんは、関東大震災研究の第一人者。当時の地震計の記録を解析するとともに、県内や東京都内などに残る慰霊碑や復興記念碑を網羅的に調べ、揺れと被害の実相に迫っている。

 「大火災は揺れの強かった地域で起きている。家がつぶれ、火を消すことができなくなってしまうからだ」と被害が拡大した要因を分析。被災した建物の割合などから「相模川の中流域や足柄平野の東部は震度7か、それ以上の激震だった」と指摘した。

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