杉原千畝だけじゃない「命のビザ」根井三郎に注目 宮崎市出身の外交官、ユダヤ難民救出へ奔走…福井県敦賀市で企画展

ユダヤ難民救出に奔走した外交官根井三郎について紹介している企画展=12月8日、福井県敦賀市の資料館「人道の港敦賀ムゼウム」

 第2次大戦中に旧ソ連ウラジオストク日本総領事代理だった外交官に焦点を当てた企画展「根井三郎~命のビザを発給した宮崎市佐土原町出身の外交官~」が12月8日、福井県敦賀市の資料館「人道の港敦賀ムゼウム」で始まった。杉原千畝と同様にユダヤ難民救出に奔走した根井三郎(1902~92年)について伝えている。来年2月7日まで。

 根井は大戦中の40年に総領事代理に就任した。翌年、杉原がリトアニアで発給したビザを持つユダヤ難民を日本行きの船に乗せてはいけないと外務省から暗に命じられたが、「面白からず(良くない)」などと反論。独断でユダヤ難民をウラジオストクから敦賀行きの船に乗せた。2020年4月にはユダヤ難民に対し根井が単独で発給したビザが初めて米国で見つかった。

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 企画展ではパネルや動画で、根井の生涯や根井からビザを受給し日本などを経由して渡米したユダヤ人、故シモン・コレンタイエルさん一家について紹介。根井の親族が保管していたアルバムなども並ぶ。

 同館の担当者は「外交官としての側面はもちろん、家族との関わり、故郷への思いなどについて詳しく紹介している。さまざまな面から根井三郎の人物像を見てほしい」と話している。

 企画展は宮崎市と根井三郎を顕彰する会、同館が主催。来年1月15日には午後1時から同会の根井翼(よく)会長による講演会が同館である。メールかファクスで事前申し込みが必要で先着30人。問い合わせ、申し込みは同館=電話0770(37)1035、ファクス0770(37)1036、メール(jindou@ton21.ne.jp)で。

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