旧統一教会関係者が陳情書 栃木県内議会に「関係遮断しないで」

栃木県議会議事堂

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係者が、栃木県と県内23市町議会に、特定の宗教法人や関連団体との関係を遮断する内容の宣言や決議を行わないことなどを求める陳情書を提出していたことが12日、下野新聞社の取材で分かった。議員を含む公人や私人に宗教団体との関係を「調査・質問しないこと」を求める文言も盛り込まれており「議会への圧力だ」と受け取る議員もいた。同日までに陳情を採択した議会はない。

 陳情は「基本的人権を守る栃木県民の会」の増渕賢一(ますぶちとしかず)代表(76)が提出した。元県議の増渕氏は旧統一教会の関連団体「県平和大使協議会」の議長を務め、取材に対して「憲法も法律も人権を守ることが基本だ。人権や思想信条の自由を阻害する動きがあるので提出した」と説明した。

 取材では上三川と市貝町以外の議会が「提出があった」と回答したが、増渕氏は県内全議会に提出する予定という。

 陳情は11月中旬~下旬に提出された。特定の宗教法人や関連団体との関係を遮断する内容の宣言や決議を行わないことに加え、議員を含む公人や私人に特定の宗教に対する信仰の有無を問うたり、その団体との関係を調査・質問したりしないよう求めている。

 県議会は議員から委員会付託の申し出がなかったため審議しない。日光市は「宗教に関する内容で議会審議にはなじまない」と議会運営委員会で判断した。茂木、那須、那珂川の3町は議長預かりとし、議会審査は行わない方針。野党県議の一人は「どの政党も旧統一教会と関係を絶つと宣言している中で、宣言するなとか調査するなという陳情を採択できる訳がない」と憤った。

 益子町では常任委員会に付託した結果、継続審査となった。宇都宮や佐野など6市町は現在開会中の12月定例会で審議予定。

 佐野市議会の山菅直己(やますげなおみ)議長は「常任委員会に付託するが、この内容では採択されることはないと思う」とした。

 足利、栃木、真岡など11市町では来年3月定例会で審議するかどうかも含め協議する。

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