2016年3月、埼玉県川口市内の飲食店で従業員男性＝当時（24）＝に暴行を加えて殺害するなどしたとして、殺人の罪に問われた上尾市柏座、指定暴力団六代目山口組傘下組織組員の無職の男（55）の裁判員裁判の論告求刑公判が12日、さいたま地裁（中桐圭一裁判長）で開かれた。検察側は「極めて残虐かつ無慈悲で悪質」として懲役20年を求刑。弁護側は殺害への関与を否定して結審した。判決は20日。
検察側は論告で、公判で行われた証人尋問の内容は、具体的で迫真性もあり、態度も真摯（しんし）などとして、おおむね信用性があると認定。両手やロープで首を絞めたとする証言を採用した。
また、男の犯行態様は「長時間暴行を加え、被害者の人格権を無視してもてあそんだ苛烈な犯行」と指摘。男は主導的な役割で「罪証隠滅を図っており、反省もない」と述べた。
一方弁護側は弁論で、男が殺人行為を行った「具体的な証明がない」と主張。現場にいた別の人物による殺害の可能性もあるとし、殺害への関与を改めて否定した。
起訴状などによると、男は16年3月18日ごろ、川口市西川口1丁目の飲食店「ハワイアンバー Lapule」内で同店経営者の男性と共謀し、同店従業員の男性に殴る蹴るなどの暴行を加えた上、男性の首を絞めたり踏みつけたりして殺害し、遺体を解体して焼却したとされる。
共謀した男性は21年10月、男性に対する傷害容疑で逮捕され、同月28日、川口署の留置場で自殺した。
