長年ホールデン陣営の顔として戦ったガース・タンダーが電撃移籍。来季はフォード陣営へ/RSC

 新車両規定“Gen3”に則して、来季より『シボレー・カマロZL1スーパーカー』と第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』が激突するRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの2023年シーズンを前に、長年ホールデン陣営を代表する存在として戦って来た元王者ガース・タンダーが、ファクトリーチームを務めるトリプルエイト・レースエンジニアリングからの離脱を表明した。

 2022年もレッドブル・アンポル・レーシングの王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トリプルエイト・レースエンジニアリング/ホールデン・コモドアZB)の耐久カップ登録コドライバーを務め、伝統の1戦『バサースト1000』を制覇した男がフォードへの電撃的スイッチをアナウンスし、来季は同じく耐久戦にてペンライト・グローブ・レーシングの第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』をドライブすることが決まった。

 2018年シーズンの終わりにフルタイムからの引退を表明しているタンダーは、過去数年にわたってTCRオーストラリア・シリーズで散発的なプログラムを続ける傍ら、スーパーカーでは名門トリプルエイトで4年間を過ごし、王者“SVG”ことヴァン・ギズバーゲンとともに2020年、2022年と2度のグレートレース制覇を成し遂げた。

 新規定Gen3モデルとなる『シボレー・カマロZL1スーパーカー』の堅調なテスト推移も受け、引き続きレッドブル陣営のクルマをドライブすると広く予想されていた45歳の元チャンピオンだが、今季最終戦となった第13戦『VALOアデレード500』が終了した翌週にもトリプルエイトからの離脱が明らかになり、その数日後にはグローブ・レーシングとの新たな契約締結を発表。来季のサンダウンやマウントパノラマにて、今度は第7世代マスタングのステアリングを握ることとなった。

「改めて、スーパーカーを代表する素晴らしいレースチームで働くことができて幸運だった」と、離別を決めたトリプルエイトに謝意を述べた2007年チャンピオン。「その一方で(代表の)ステファン(・グローブ)とブレントン兄弟が非常に短期間の時間枠で達成した仕事ぶりにも感銘を受けていた」と続けるシリーズ通算57勝を誇るタンダー。

耐久戦にてPenrite Grove Racingの第7世代『フォード・マスタング・スーパーカー』をドライブすることが決まった元王者ガース・タンダー
過去4年間は、Red Bull Ampol Racingとして参戦するTriple Eight Race Engineeringのホールデン・コモドアZBをドライブしてきた

■「Gen3の開発を支援するため、計算できるドライバーをチームに加えたかった」とグローブ代表

「すでに計り知れない才能であることが証明され、ドライバーとしての成功を収めながらグローブ・ジュニアチームの指導も担っているマシュー・ペインの仕事をサポートするべく、彼らが将来のため構築している計画の一部になるよう私に要請してきた。それは本当に興味を惹かれる内容だったよ」

 かつてはトッド&リックのケリー兄弟が率いた組織を母体とする現グローブ・レーシングには「一緒に仕事をしたことがあるメンバー」がマネジメント陣に複数在籍するというつながりも活かし、登場が間近に迫った2023年型Gen3モデルの開発でも「できる限りチームを支援することを楽しみにしている」と語った。

「そして過去4年間、ともに旅をしてくれたトリプルエイトにも改めての感謝を捧げたい。2020年と2022年に、SVGと一緒にバサーストでの勝利を獲得する機会を得たことは、僕のキャリアに新たな章を追加してくれた。彼らとの成功の歴史にも深く感謝しているよ」

 一方、チーム代表を務めるステファン・グローブも、シリーズ制覇を経験するタンダーの「蓄積が注がれることを期待する」との言葉を残した。

「経験豊富なドライバーが、まだ20歳と若いマシューの最初の年に協力する必要があることを確認し、彼と合意できたことは本当に光栄だ。レースでの勝利の血統とウイニングカーを開発した経験を考慮すれば、これは当然の選択だった」と続けたグローブ代表。

「加えてシーズンの早い段階でGen3の開発を支援するため、計算できるドライバーをチームに加えたかった。可能な限り最高のドライバーラインアップで、バサーストに挑む機会を得られたのは幸運としか言いようがないね!」

「レースでの勝利の血統とウイニングカーを開発した経験を考慮すれば、これは当然の選択だった」とステファン・グローブ代表(右)
12月12日には2022年最後のGen3テストが実施され、ジェームス・コートニーやウィル・ブラウンらが参加している

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