上場企業の92.0%がインボイス登録完了、個人企業との登録率の差が鮮明

 インボイス制度の登録は2023年3月末で期限を迎えるが、11月末の上場企業の登録率は92.0%に達したことがわかった。上場企業でも小規模や赤字企業は登録率が低く、一方、フリーランスなどの個人企業(個人事業者)の登録率は2割に満たず、資金力の差が登録にも影響しているようだ。

   市場別の登録率は、東証プライムが95.0%、スタンダードが91.8%、グロースが82.7%で、時価総額が大きい企業ほど登録が進捗している。業種別では、最高は製造業の96.7%、最低は不動産業の81.0%だった。損益別では黒字企業93.5%、赤字企業が84.6%で、黒字企業との差は8.9ポイントだった。

市場別インボイス登録率

  上場企業3,949社のうち、11月末のインボイス登録は3,636社が終了し、登録率は92.0%だった。
 その後、登録が完了した企業もあるほか、未登録でもSBIホールディングス(プライム)は「期限までには申請する予定」、神戸物産(プライム)は「すでに申請を済ませており、登録を待っている状況」、東京都競馬(プライム)は「近日中に申請する」など、早期の申請意向を示す企業は多い。

 

規模や損益で登録率に差

 市場別のインボイス登録率は、東証プライムは95.0%(1,837社中、1,746社)、スタンダードは91.8%(1,451社中、1,333社)、グロースは82.7%(同499社中、413社)。 アンビシャスや名証プレミアなど、その他は88.8%(162社中、144社)だった。
 業種別の登録率は、最高が製造業の96.7%で、次いで、電気・ガス業の96.0%、卸売業の95.0%の順。一方、最低は不動産業の81.0%だった。このほか、サービス業の84.6%、金融・保険業の85.8%も低かった。
 インボイス登録した企業の直近本決算(新設上場など除く)の当期利益は、黒字が登録率93.5%に対し、赤字は84.6%で、黒字より8.9ポイント低かった。

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 東京商工リサーチが「経済センサス」(総務省)を基に登録率を分析すると、11月末で未上場含めた法人は71.6%に対し、個人企業は19.0%にとどまっている。
 上場企業でも、規模や業種、損益で登録率に差が出ている。また、申請手続きやシステム投資などの負担が重く、登録率の低迷につながっているとみられる。
 政府与党は小規模事業者に対し、軽減措置を講じる方針だが、売上自体が低迷する小・零細企業がインボイス対応の新たな投資や、仕分けなど事務管理費のコストアップを吸収できるか微妙な段階に差し掛かっている。

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