<長崎この1年>『新型コロナ3年目』 猛威続くオミクロン株 第8波の中で迎える年末年始

発熱患者の検査結果を受け、スタッフと話し合う古賀理事長=9月9日、長与町、こが内科外科クリニック

 「きょうは少ない方です」。12月15日、新型コロナウイルスの感染疑いがある発熱患者の診療と検査を終えた「こが内科外科クリニック」(西彼長与町)の古賀崇理事長(53)は「この数日、陽性率が5割を超えている」と心配そうに続けた。
 感染が落ち着いた中で迎えた新年。だが、感染力が強い変異株「オミクロン株」の流行であっという間に状況は変わった。元旦に1人だった感染者は下旬には最多で700人台に。1月26日、県全域が国の「まん延防止等重点措置」の適用対象になった。3月7日に解除されたが、その後もくすぶり続け、7月に再拡大。盆明けのピーク時には1日で最多4610人、8月18日からの7日間は2万5千人に達した。
 爆発的に感染者が増えた第7波だが、季節性インフルエンザ並みに重症化率が下がったことなども要因となり、国や県は「ウィズコロナ」にかじを切った。行動制限はなく、3年ぶりに開かれる行事が相次いだ。
 ただ医療提供体制は過去の流行期同様に逼迫(ひっぱく)し、危機的状況に陥った。コロナ病床がある医療機関に加え、診療・検査医療機関として発熱患者を診るクリニックにも大きな負荷がかかった。発熱外来に消極的な医療機関が多く、一部のクリニックに患者が押し寄せたのだ。
 こが内科外科クリニックは今夏、かかりつけの患者以外も可能な限り受け入れた。保健所への発生届などでスタッフは連日、深夜まで業務に追われた。古賀理事長は「私もスタッフも1カ月くらいは昼休みなしだった。苦しむ患者さんを放っておけないという使命感だったが、スタッフは大変だった。感謝しかない」と振り返る。
 こうした負担を減らすため、県は9月9日から全国に先がけて感染者の全数把握を簡略化。さらに県や県・郡市医師会などが積極的に働きかけ、発熱外来に応じる医療機関も増えた。
 第8波の中で迎える年末年始。古賀理事長は「1月中旬ごろにかけて感染者は増えるかもしれない」としながらも「多くの人が感染し、ワクチンも普及した。来年には普通の風邪に近づくのではないか」と期待を込めた。


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