長崎県内景況 3期連続改善 12月短観 コスト高を懸念

日銀短観 県内業況判断DI(全産業)推移

 日銀長崎支店が14日発表した12月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、全産業の景況感を示す業況判断指数(DI)が前回9月から3ポイント上昇のプラス9で3期連続改善した。新型コロナ禍の和らぎで景気の回復が見られる一方、コスト高への懸念から先行きは慎重な見方が目立った。
 製造業はプラス4で前回から6ポイント改善。食料品は外食需要の増加を受け14ポイント、電気機械は部品の供給制約緩和や5G関連の需要増加で17ポイントそれぞれ上昇した。
 非製造業は前回より2ポイント上昇のプラス12。コロナ禍の和らぎや全国旅行支援の効果などで宿泊・飲食サービス、運輸・郵便が改善した。一方、エネルギー価格上昇に伴う収益圧迫で電気・ガスは66ポイント悪化した。
 仕入れ価格判断DI(上昇引く下落)は68、販売価格DI(同)は36で、引き続き共に高い水準。コスト高による販売価格転嫁の動きが広がっている。
 来年3月の全産業の先行きは8ポイント悪化のプラス1。鴛海健起支店長は、新型コロナ禍や部品部材の供給制約などのマイナス要因が和らいだが、物価上昇が「業況感の改善の緩やかさや先行きの慎重さにつながっている」と分析。雇用についても「景気全体が持ち直す中、人手不足感も一段と強まっている」と指摘した。
 業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。135社(製造業45、非製造業90)を対象に、11月10日~12月13日に調査し、全社が回答した。


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