つながりづらい「いのちの電話」…メール4割弱に自殺恐れ 1日3千件超を約20人で対応 相談員へ怒声も

埼玉いのちの電話、相談員の増加必要

 悩みを抱える人からの電話にボランティアが対応する「埼玉いのちの電話」は、県庁で会見を開き、2021年の相談統計資料がまとまったことを報告した。メールでも相談を受けており、相談員が自殺の可能性を感じ取る「自殺傾向率」は電話が14.4%だったのに対し、メールでは37.9%に上った。メールでの相談者の58%が30代以下で、68%が女性だという。埼玉いのちの電話の内藤武事務局長は「メールの方が表現しやすい。一方で、電話がつながりにくいという苦情もあり、改善すれば電話への信頼度が増すのではないか」と課題に挙げた。

 受信した電話のうち、男性からが45.6%、女性からが54.4%。電話相談の内容はうつや統合失調症など「精神」に関するものが26%、生き方や孤独など「人生」に関するものが25%で上位を占めた。22年はまだ集計されていないが、全国的に「怒り」を訴える電話が多かったという。内藤事務局長は「相談員に『やめろ』と怒るなど、電話を受ける側がつらくなってしまうものもあった」と話した。

 全国の相談員の人数は2001年には7900人だったが、21年には5598人となった。コロナ禍で相談員が減ったことなどにより、相談員の人数に対し件数が膨大となり、さらにつながりにくい状況にあるという。埼玉いのちの電話には1日3千件以上の電話がかかってくるが、14~22人の相談員で対応しているため、対応できるのは60~70件。内藤事務局長らは、ボランティア研修への積極的な参加を呼びかけた。

 埼玉いのちの電話は毎年、県内5カ所でボランティア募集説明会を行っている。ボランティアになるためには、研修費6万円の約5カ月間の研修に参加する必要がある。

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