『長崎県高総体開会式復活』 部活の力 改めて実感 スポーツができる環境に感謝 <長崎スポーツこの1年>

6月の県高総体で3年ぶりに実施された総合開会式=佐世保市総合グラウンド陸上競技場

 コロナ禍前への回帰を実感する1年になった。昨年は東京五輪の無観客開催をはじめ、特に観戦面の制限が目立ったが、今年は有観客開催が広がり、一部で声を出す応援が認められるなどスポーツを楽しむ日常が戻ってきた。
 県内の大きな転機は6月。高校生アスリート最大の祭典となる県高総体で、総合開会式が3年ぶりに復活した。例年と比べて規模こそ縮小したものの、選手ら約2500人が一堂に集い、マスクを外して晴れ舞台で入場行進を披露。各競技会場では保護者ら関係者の観戦も認められた。
 「多くの高校生にとって最後の部活となる大会。何とか思いに応えたい」。こうした考えから、県高体連は緻密に感染対策を練り、変更を重ねながら直前に開会式の決行と有観客を決断した。華やかな式典がスムーズに進行され、選手宣誓を務めた川棚高男子ホッケー部の林樹主将の「スポーツができるこの環境に感謝している」という言葉に実感がこもった。
 3年生にとってはコロナ禍に悩まされ続けた部活生活だったが、集大成の舞台で最後に報われた格好だ。大会後の反響は大きく、県高体連に離島の学校から「久しぶりに大きな舞台に立たせてもらって生徒たちがすごく喜んでいた」、進学校からは「開会式に参加したその日の夜から宿舎での行動が変わった」などと“英断”を評価する声が多数寄せられた。保護者からの感謝も多かった。
 県高総体を勝ち抜いた選手たちは、夏の四国インターハイでも躍動。バドミントン男子団体の瓊浦、剣道男子団体の島原が初優勝、ソフトボール男子の大村工、登山女子の長崎北陽台も日本一に輝くなど、過去最高成績が相次いだ。県高総体以降、県内の各年代の大会で有観客や開会式を再開する動きが続いたことを踏まえても、今年の県高総体は価値ある成功体験となった。
 県高体連の皆良田憲明理事長は引き続きコロナ禍と向き合いながら、生徒たちのために全力を尽くす構えだ。「競技面はもちろん、競技以外の面でも多くの高校生が部活の力を実感する年になったのではないかと感じている。これからも選手ファーストで子どもたちがいろんな経験ができる環境を整えていきたい」


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