京セラ 諫早に新工場 人員1000人規模 半導体関連、2026年操業計画

京セラが取得を計画している南諫早産業団地。手前が完成した1工区=諫早市

 京セラ(京都市)は19日、長崎県諫早市小栗地区の南諫早産業団地に新工場を建設すると発表した。先端半導体に関連する部品の旺盛な需要を背景に、生産体制の増強を図る。約15ヘクタールを取得し、2026年をめどに操業を開始する計画。段階的に進出し、最終的には地元雇用も含め千人程度の人員配置を想定している。本県への生産拠点開設は京セラグループ全体で初めて。県内への千人規模の大規模な企業誘致は、10年3月に操業を始めた長崎キヤノン(東彼波佐見町)以来。
 京セラによると、新工場は部品事業を中心に検討中。具体的に何を生産するかは今後の市場動向も踏まえて判断する。第5世代(5G)移動通信システムに不可欠な先端半導体を製造する装置の部品などが想定されるという。設備投資額や建物の規模は未定だが、同社は「市場の需要に対応し、グループの成長発展を図るとともに、地域社会の発展に貢献していきたい」としている。

 同社は積極的な増産投資を続けているが、国内に15カ所ある既存工場だけでは生産拡張が困難と判断。南諫早産業団地が、長崎自動車道に直結する島原道路の栗面インターチェンジや長崎空港に近く、交通の利便性が高いことに加え、本県には工学系の大学や高専があり、優れた人材を確保できることなどから進出を決めた。
 近年は▽情報通信▽自動車関連▽環境・エネルギー▽医療・ヘルスケア-の四つの重点市場に注力している。グループでは、京セラコミュニケーションシステム(京都市)が19年、情報通信技術(ICT)研究開発拠点を長崎市に開設した。グループ全体で29年3月期までの売上高3兆円達成を目標に掲げており、24年3月期以降も今期予想(2千億円)を上回る水準の投資を計画している。
 取得予定の約15ヘクタールは、南諫早産業団地の分譲面積の4分の3に当たる。諫早市によると、同団地は全2工区。これまでに1工区(約11ヘクタール)が完成し、福岡市内の企業と諫早市土地開発公社が約1.2ヘクタールの売買契約を結んだ。2工区は23年度中に完成予定。
 諫早市では、ソニーグループが、スマートフォンカメラ向け半導体の生産拠点と位置付けているソニーセミコンダクタマニュファクチャリング長崎テクノロジーセンター(長崎TEC、津久葉町)の工場の拡張を進めている。


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