国内唯一40年超運転、美浜原発3号機の運転差し止め認めず 大阪地裁判断

美浜原発3号機(手前)=2021年6月、福井県美浜町

 関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の運転差し止めを福井、滋賀、京都の3府県の住民が関電に求めた仮処分で、大阪地裁は12月20日、住民の申し立てを退け、差し止めを認めない決定をした。

 美浜原発3号機は福井県美浜町にある関西電力の原発。加圧水型軽水炉で出力は82万6千キロワット。1976年12月に営業運転を開始した。2004年8月に配管の破裂による蒸気噴出事故があり、作業員5人が死亡、6人が重傷を負った。東京電力福島第1原発事故後、2011年5月に定期検査のため停止。新規制基準に基づく審査に16年に合格し、最長20年間の運転延長が認められた。

 21年6月、運転開始から「原則40年、最長60年」のルールで初めて40年を超えて再稼働した。同10月にテロ対策施設が未完成だったため停止。22年8月に原子炉を起動し、9月26日に営業運転を再開した。1、2号機は廃炉作業中。

美浜原発3号機を巡る経過

1976年12月1日 関西電力美浜原発3号機が営業運転開始

2004年8月9日 配管破裂による蒸気噴出事故が発生し、作業員5人が死亡、6人が重傷

2011年3月 東京電力福島第1原発事故

 5月 美浜3号機が定期検査入りし運転停止

2016年10月 新規制基準の審査合格

 11月 最長20年の運転延長認可

2020年9月 再稼働に向けた安全対策工事が完了

2021年4月 福井県知事が再稼働に同意表明

 6月21日 福井、滋賀、京都3府県の住民が運転差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申し立て

2023日 運転開始40年を超えて再稼働

 10月 テロ対策施設が未完成のため定期検査入りし運転停止

2022年7月 テロ対策施設の運用開始

 8月1日 放射性物質を含む水約7トンが漏えい

 30日 原子炉を起動し運転再開

 9月26日 営業運転再開

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