シーボルト来日200周年 長崎市、出島に旗竿設置へ 

旗竿の設置が検討されている出島の護岸付近=長崎市出島町

 江戸時代の出島オランダ商館医、シーボルトの初来日から来年で200周年になるのを受け、長崎市は20日の市出島史跡整備審議会で記念事業の概要を明らかにした。当時出島のシンボルだった旗竿(はたざお)(国旗掲揚台)について、当時と比べ小規模なものを同じ場所に来年10月ごろに設置する方針を示した。
 市出島復元整備室によると、旗竿は江戸時代、オランダ国旗を掲揚するため出島北西部に設置していた。高さは約30メートル。出島を描いた絵図にも登場しており、オランダの祝祭日などに国旗を掲げていたとされる。
 旗竿の復元は以前から検討され、市民による整備の要望もあった。だが、同じ場所に同じ大きさで復元すると、基盤の一部が現在の中島川に重なることや、遺構を傷つける恐れがあることがネックになっていたという。
 新たに設置する旗竿は、安全面を考慮し約12メートルで設計。江戸後期と同じ「二番蔵」付近に立てる予定。オランダや日本の祝祭日に旗を掲げることなどを検討しており、日蘭友好の象徴や新しいビュースポットとしての活用が期待される。
 このほか、シーボルトのお抱え絵師だった川原慶賀が長崎港を描いたとされるびょうぶ(ライデン国立民族学博物館所蔵)のレプリカなど、シーボルトゆかりの資料展示を検討している。


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