米フィデリティ、韓国の高純度フッ化水素(12N)メーカーへの投資拡大

米国の資産運用会社「フィデリティ(Fidelity)」が、ソルブレイン社の持分率を5.75%から6.47%に増やしたと16日に公示した。ソルブレインは韓国で初めて高純度フッ化水素の開発に成功した企業だ。

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フィデリティは過去3ヶ月間、ソルブレインの持分を着実に拡大している。これについて、韓国証券レポートなどでは、ソルブレインのフッ化水素における独歩的な技術力とサムスン電子の核心パートナー企業であるが高く評価されていると分析されている。(フィデリティの公示文:https://kind.krx.co.kr/common/disclsviewer.do?method=search&acptno=20221216001384)

ソルブレインは、半導体エッチング工程に必要な消耗性材料を供給する企業だ。ソルブレインは超高純度フッ化水(HF)を2020年に開発した。超高純度フッ化水素は12Nと呼ばれる99.9999999999%で、9が12個続く純度を意味する。

それまで同製品は全量日本に依存していた。しかし、その前年に日本が高純度フッ化水素やEUV用フォトレジストなど半導体素材3品目について対韓国輸出規制(輸出管理強化)を行ったことから、韓国ではソルブレインの開発に沸いた。

ソルブレインは他にも、GAA(Gate All-Around)技術にも通じていると伝えられる。GAAは、サムスン電子がファウンドリ分野のリーダーである台湾のTSMCに追いくため企画した微細工程の新技術だ。サムスン電子のチェ・シヨン=ファウンドリ事業部長(社長)は今年10月、来年上半期に(GAAGate-All-Around)技術を適用した3ナノ第1世代を、2023年に3ナノ第2世代の量産を始めると明言している。

今月2日、韓国証券大手のNH投資証券はソルブレインのさらなる株価上昇を予想し、サムスンのGAA(Gate All Around)工程開始などをその根拠として挙げた。

ト・ヒョンウNH投資証券研究員はレポートで「リスク管理のレベルで、既存の主発注先であるTSMCにサムスン電子を加えることで二元化(リスクヘッジ)しようとするマルチファウンドリ需要が米国のファブレスで増えている」とし、「これにより3nm(ナノメートル)工程でサムスン電子のファウンドリ(部門)が受益を見ると予想され、顧客社の3nmプロセス量産がソルブレインの受益となるだろう」と分析した。

同研究員は「3nm GAA工程にソルブレインが開発したエッチング液が使用されるが、この工程でSiGe(シリコンゲルマニウム)とSi(シリコン)を選択的に除去するための精密な湿式エッチング工程が必要だ」と述べた。

続いて「3D NAND(NANDフラッシュ)が200段以上で積層数を増やすスピードが遅くなり、フィーチャースケーリングが加速する方向で集積度が高くなると見込まれる点もソルブレインには恩恵になるだろう」とし「フィーチャースケーリングはスリット間の オーバーヘッドを減らし、フィラー間隔を短くしてスリット当たりのフィラー数を増やし、フィラーのCD(Critical Dimension)を縮小させる方向に工程が進行するが、これはエッチング材料の重要度を高める」と述べた。

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