「持病があっても入れます」は本当? 緩和型保険でも加入できないケースとは?

「持病がある方向けの保険…」のようにテレビやラジオで宣伝されている緩和型保険ですが、どんな病気のひとでも加入できるわけではありません。緩和型とはどのような特徴があるのか、緩和型保険の上手な活用の仕方を考えてみます。


緩和型保険はどんな保険?

緩和型保険とは正しくは「引受基準緩和型保険」といい、持病のあるひとや、入院・手術などの経験がある人でも加入しやすい、引受基準の幅を広めている保険です。加入できる年齢は20歳から85歳までとしている保険会社が多く、子ども向けの緩和型はあまりありません。近年、各保険会社で新商品が発売されており、ひとくちに緩和型保険といっても、各社特徴があります。緩和型というと医療保険をイメージするかもしれませんが、様々な保険に緩和型商品が増え始めています。

一生涯の死亡を保障する終身保障保険、一定期間死亡を保障する定期保険、三大疾病になった時の一時金を補償する三大疾病一時給付保険、遺族の生活を支える収入保障保険など、多岐に渡ります。

医療技術の進歩、健康診断の受診率の増加などで、病気の早期発見が可能となっている現代。完治できる病気もありますが、一生つきあっていかなければならない病気や、再発の恐れのある病気もあります。緩和型保険は病気と付合いながら長生きするひとにとって大きな支えになる保険ともいえます。

緩和型保険の特徴は、告知項目が「はい」か「いいえ」の回答のみというところです。質問に「はい」という答えになってしまった場合は、その時点で引受けができない商品がほとんどです。一般の保険は「はい」があった場合、詳細を告知する欄があり、どんな病気でいつ頃からどのような治療をし、現在の状態はどうなのか、数値がわかれば数値を記入する仕組みです。記載内容をもとに保険会社が引受けの判断をします。それに比べると、緩和型はいたってシンプルです。

持病のあるひとにとっては、保険加入の時、告知書にいろいろなことを記入することがストレスになることもあります。給付金支払のリスクが高いひとを引受ける緩和型商品の保険料は、一般の商品に比べ割高です。それでも、簡単な項目に答えるだけで加入でき、一般の商品では条件がつく、または加入できない可能性の高いひとにとって、頼もしい商品ではないでしょうか。

わかりやすくシンプルな告知はシビアでもある

緩和型商品の告知は概ね3項目です。

1.直近3か月以内に、医師により入院・手術・検査をすすめられましたか?

(検査の項目がない商品、反対に先進医療の項目が入る商品もあります)。

2.過去2年以内に、病気やケガで入院や手術を受けたことがありますか?

(過去1年以内の商品も増えてきました。白内障、子宮筋腫、骨折など入院手術があっても対象外になる項目が設定されていることもあります)。

3.過去5年以内に、がん・肝硬変・統合失調症で医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか?(この質問では病名がかなり違います。商品によっては、病名は別表に記載されている保険会社もありますが、病名を限定しているのが緩和型の特徴で、○○等のような記載はされていませんので、病名に該当しなければ「いいえ」という判断になります)。

この3つの質問で「いいえ」であれば加入できますが、がん・肝硬変・統合失調症は概ねどの商品にも記載があり、緩和型でも加入が難しいことがわかります。新しい商品の中には、がんに罹患され、治療投薬が終了してから10年以上経過すると加入できる商品もありますので、各種商品を比較検討してみましょう。

がん一時金給付や三大疾病一時金給付、特定疾病で払込が免除される特約などをつけられる商品もあります。その場合は、基本の3つの告知に加えて、がん以外にもポリープ・腫瘍・胸のしこりなどで定期的な診察を受けているか、心疾患・脳血管疾患で医師の診察を2年以内に受けているかなどの告知に答える必要があります。

特定疾病保障は狭き門。入れる保障で手厚くする

健康に不安のあるひとにとって、三大疾病に関する一時金は魅力ですが、良性でも腫瘍があれば付帯することはできません。特約を付けることができない時、基本保障の内容でカバーできる場合があります。

手術給付金の支払いパターンを工夫してみる方法です。基本の手術給付は入院日額の10倍だとしても、支払いパターンの選択で手術の種類に合わせ最大40倍の給付をつけられる商品があります。たとえば胃がんによる腹腔鏡手術の場合、日額1万円の入院給付で40倍の40万円支払うことができます。がん一時金がつけられない場合でも、手術有の入院では、保障が手厚くなります。他にも、三大疾病入院無制限をつけることで、長引く入院や繰り返す入退院に備えられます。入院一時金をつけることで、短期入院でもかさむ入院費用の手当てにできます。

先にも申し上げた通り、緩和型保険は一般の保険に比べて割高です。持病があるから必ずしも一般の医療保険に入れないわけではありません。病気によってはきちんと治療し、コントロールを続けていることが評価の対象になることもあります。病気の経過、受けている検査、投薬の内容など詳細告知をすることで、加入できる可能性もあります。充分な比較検討、信頼のおける代理店への相談など慎重に選択しましょう。

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