【中村英史さん(La Fattoria オーナーシェフ)】食材の宝庫・新潟の魅力をイタリア料理で発信していく

中村英史さん(La Fattoria オーナーシェフ)

中村 英史(なかむら ひでふみ): 新潟市東区出身。専門学校を卒業後、軽井沢と東京のレストランで修業を積み、新潟へUターン。レストランの料理長などを務めた後、新潟駅前にイタリアンレストラン「La Fattoria(ラ・ファットリア)」をオープン。県産食材を中心にしたメニューを提供し、新潟の魅力を発信している。


ガタチラスタッフ:『新潟人130人目は「La Fattoria」オーナーシェフの中村 英史さん!
県内外のレストランでの修行を経て、新潟駅前にイタリアンレストラン「La Fattoria」をオープンし、料理を通じて新潟食材の魅力を伝えています。中村さんが料理の道を志したきっかけとは!?素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

イタリア料理の奥深さに魅せられて

──料理の道に進むきっかけは何だったのですか?

中村さん:子供の頃から魚釣りが好きで、魚を捌いてお刺身を作ったりしているうちに、料理の道を何となく考えていました。高校卒業時の進路選択で明確に決めたという感じですね。最初は寿司か和食の道を考えていたのですが、専門学校の講師から「手の温度が高い人は和食や寿司職人には向いていない」という話を聞いて、洋食に決めました(笑)。

──洋食に進んで気持ちの変化はありましたか?

中村さん:洋食レストランで修業するうちに、イタリア料理に惹かれていきましたね。イタリアは、地方に根付いた食文化の奥深さがすばらしいんです。それをもっと追究したくなり、イタリア料理を極めようと思いました。周りが海に囲まれているという意味では日本と共通点があって、魚料理が豊富なんですよね。普通ならピザやパスタからイタリア料理に入っていくと思いますが、僕の場合は魚料理でした。

新潟は食材の宝庫

──独立を決めたきっかけは何だったのですか?

中村さん:学生の頃から「いつか自分のお店を持ちたい」とは考えていて、「料理を通じて県産食材の魅力を発信したい」という想いが強くなった時に独立を決めました。「ラ・ファットリア」という店名は“農園”という意味で、「新潟駅前の小さな農園」がコンセプトです。実際に農園を持っているわけではありませんが、「今まで出会ってきた生産者さんの気持ちが集まる場所」という意味を持たせています。これまで色々なお店で働きながら、ずっと考えてきたテーマです。

──素敵なテーマですね!

中村さん:県内には素敵な生産者さんがたくさんいらっしゃいます。村上市のダチョウ牧場など、珍しい食材も料理を通じて紹介していきたいですね。県内はもちろん、県外でもこだわりの食材があると生産者さんのもとへ出向き、メニューに取り入れています。

──新潟はたくさんの食材に溢れていますよね!

中村さん:その通りです。実際に県内の農家さんを訪れて、若い人たちが色々とチャレンジしていることを知りました。新潟にはイタリア野菜や、かぐら南蛮・水ナスなどの伝統野菜を育てる農家さんもいます。ナスだけでも、料理によって使い分けできるくらい種類も多く、食材の宝庫なんです。しかし、新型ウイルス禍で飲食店が休業している間に、農家さんも珍しい野菜を作らなくなってしまったので、それがとても残念です。

店内

──県産野菜の魅力を料理を通じて知ることができるのは幸せですね。

中村さん:そうですね。野菜がおいしいと感じていただけるのは、当店としても嬉しいです。基本的に旬の野菜を使ったメニューを提供しています。野菜だけでなく、フルーツも県産です。最近は佐渡のおけさ柿を使った「あんぽ柿」をピザに使いました。ゴルゴンゾーラチーズと一緒に焼くと、あんぽ柿の優しい甘さがよく合っておいしいんですよ。

──想像しただけでもおいしいのが伝わります…!(笑)

中村さん:イタリア料理ではゴルゴンゾーラとドライフルーツをよく合わせるのですが、まさにそんなイメージですね。もともとあるレシピの中に、ひらめきで新潟の食材を取り入れています。せっかく良い食材がたくさんあるので、どんどん使っていきたいです。

──お店の至るところがバリアフリーになっているのも特徴的ですね!

中村さん:亡くなった祖母が足が悪かったことがきっかけで、お店はバリアフリー対応にしています。お客様の中には車いすでの入店を断られたという経験から、外食を控えてしまう方もいらっしゃるので、そんな方にもご利用いただきたいと考えました。「おばあちゃんを連れてきたい」とご予約いただくこともよくあります。事前にご連絡いただければ対応できますので、お気軽にご利用いただきたいと思います。

バリアフリー対応の店内

野菜と魚が美味しい店を目指す

──お客様との印象に残るエピソードはありますか?

中村さん:誕生日や記念日などにサプライズとしてデザートをお出しする時にポラロイド写真を撮影して、写真にお客様からメッセージを書いていただくのですが、その時にお渡ししたペンで紙ナプキンなどに心に残るメッセージをいただくことがとても嬉しいですね。お店を続けていてよかったなと思います。

──最後に、今後挑戦したいことを教えてください!

中村さん:野菜が美味しいお店というイメージだけでなく、「魚も美味しいお店」になって、“新潟の魚”をもっと発信していきたいですね。今でも休日には釣りに出かけて、自分で釣った魚をお店で調理して提供しています。釣るところから調理まで、自分で完結させているので、味には自信がありますし、こういう形で魚を提供するイタリア料理店はほとんどないと思います。秋のサワラや夏のタラなど、スーパーでは魚が本当の旬の時期に出回りにくいのですが、その美味しさを味わっていただきたいです!

店舗外観

La Fattoria
住所:新潟市中央区花園1-6-29 ワタシンビル 2F
電話:025-250-7883
営業時間:ランチ(土曜、日曜、祝日のみ営業):11:30~14:00(L.O.) / ディナー 火曜~土曜18:00~22:30(L.O.) / 日曜:17:30~21:30(L.O.)
定休日:月曜・第2火曜

© 株式会社新潟日報メディアネット