TEAM MACH、2023年のスーパーGT参戦体制を発表。冨林勇佑と松井孝允のコンビで車両は別個体に

 12月25日、スーパーGT GT300クラスに参戦するTEAM MACHは、2023年の参戦体制を発表した。ドライバーとしては2年目の挑戦となる冨林勇佑を継続起用し、さらに2016年のGT300チャンピオンである松井孝允がHOPPY team TSUCHIYAから移籍しコンビを組むことになった。また車両はMC86を使用するが、2022年までとは別の個体となる。

 2022年は第3戦鈴鹿でトップ争いを展開、2位表彰台を獲得する活躍をみせたTEAM MACH。ただ第8戦もてぎでは、予選12番手からスタートするも決勝レース序盤のFCY〜セーフティカーラン時に後続からクラッシュされ、コンクリートウォールに激しくヒット。幸いドライブしていた冨林に怪我はなかったが、リヤエンドを中心に車両は大破してしまった。

 TEAM MACHは車両をガレージに戻し、各パーツを外しモノコックのダメージを製造を担った童夢で点検したというが、やはり使用不能という判断が下されたという。この時点で、2015年シリーズから使用しているMC86での継続参戦は絶望的となってしまった。

 チームの玉中哲二監督は、最終戦もてぎのレース後には「なんとか来季も継続したい」としていたが、モノコック使用不能という判断でなかば2023年の参戦を諦めかけたという。ただその後、別項にも記すがHOPPY team TSUCHIYAの土屋武士監督から、2016年のチャンピオンカーであるMC86の貸し出しとスペアパーツ提供、それにともない松井孝允の起用が提案された。さらにクラッシュした相手でもあったaprの金曽裕人監督からは、クラッシュした車両の修理の応援といった連絡を受けたという。

 ただ、玉中監督は土屋監督からの申し出のうち、松井の起用を決定したものの、MC86はHOPPY team TSUCHIYAにとっても非常に重要な車両であることから貸し出しは断った。一方で、2022年にArnage MC86として走っていたインギング所有のMC86を卜部治久オーナーから購入することになり、多くのチームからの助けを得て2023年の参戦を目指すことになった。

「最終戦もてぎでのクラッシュにより2023年の参戦はなかば諦めていましたが、事故後にスーパーGTで戦友である各チームの代表から支援の声をいただき、そのありがたい声に参戦を目指すことを決意いたしました」と玉中監督。

「出場するからにはチーム一丸となって頂点を目指したいと思いますので、応援よろしくお願いいたします」

 こうして構築された2023年の体制は、冨林と松井がコンビを組む充実の体制に。2年目の冨林の速さ、そしてマザーシャシーを熟知する松井の経験とスピードが融合すれば、非常に興味深い存在となりそうだ。またオゾン除菌脱臭機『エアバスター』を展開する三友商事のスポンサー契約も継続することになった。メンテナンスを担うGT NETの尾本直史代表も「最終戦のクラッシュでお先真っ暗になりましたが、このような体制で参戦できることになり、さらに高みを目指して頑張りたいと思います」と力強くコメントしている。

 スーパーGT参戦初年度に印象的な速さをみせた冨林は、2年目の挑戦に向けて「スーパーGTに出場するチャンスを下さったTEAM MACHさん、そしていつも多大なるサポートを頂いている三友商事さま、デルタモータースポーツ、そして松井選手とともに2023年シーズンも戦うことができて嬉しいです。チームに初優勝を届けられるよう頑張ります」とコメントした。

 そして、慣れ親しんだHOPPY team TSUCHIYAを離れ、ふたたび成長を目指すことになった松井は「2023年はTEAM MACHさまで戦えること、本当に嬉しく思います! 昨年2位表彰台と惜しくも優勝に届かなかったので、なんとしてでも優勝できるようにチームの一員として戦っていきます」とコメントした。

「このチームで走るにあたり、松井孝允を起用していただいたTEAM MACHの玉中さま、つちやエンジニアリングの土屋さまに感謝し、2023年を全力で戦っていきます!」

 災い転じて福となす……ではないが、多くのライバルチームからのサポートもあり2023年のグリッドにTEAM MACHがつくことを大いに喜びたいところだ。そして強力なパッケージはそのライバルにとっても決して目が離せない存在になるのは間違いない。

2022 スーパーGT第1戦岡山 マッハ車検 エアバスター MC86マッハ号の冨林勇佑
2022 スーパーGT第8戦もてぎ 松井孝允
2022 スーパーGT第8戦もてぎ クラッシュしたマッハ車検 エアバスター MC86マッハ号

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