南朝軍が拠点にした山城、杣山城を保存継承へ 福井県南越前町で「愛する会」発足

杣山城の保存継承に向けた取り組みを確認した「愛する会」の発足式=12月22日、福井県南越前町の南越前文化会館

 福井県南越前町の山城、杣山城(そまやまじょう)を歴史的文化遺産として保存継承していくことを目指す町民有志の団体「杣山城を愛する会」が12月22日、発足した。町教委が進めている城跡整備と連携し、来訪者の案内やイベント開催などに関する事業に取り組んでいく。

 杣山城は、同町の南条、今庄両地区にまたがる標高492メートルの杣山山頂一帯に広がる山城。鎌倉時代に瓜生氏が築いたとされる。南北朝時代には新田義貞率いる南朝軍の拠点となり、越前守護の斯波氏や戦国大名朝倉氏の家臣河合安芸守の居城にもなった。

 曲輪や土塁など多くの遺構が保存され、居館跡などが現存していることから、1934年に国史跡に指定された。町教委は2018年に策定した整備基本計画に基づき、保護活用の整備を進めている。

 「愛する会」は町教委が事務局を務め、地元の阿久和区住民を中心とする会員やオブザーバーの12人で構成。城跡活用事業の提案や実践に取り組み、町教委が史跡内に整備を予定するガイダンス施設の維持管理方法を協議する。定期的な勉強会や視察研修を行うほか、毎年のはすまつりと連携したイベント開催を検討していく。

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 発足式が同日、同町の南越前文化会館で開かれ、事業計画などを確認した。嶋崎洋会長は「素晴らしい歴史遺産を『県下に杣山あり』ともっとPRしていきたい。観光ボランティアを地元でやっていけるように取り組みたい」と抱負を話した。

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