コロナ第8波 県医療体制、再び逼迫 「休み明けに患者急増の恐れ」長崎大・泉川教授

会見する泉川教授=長崎大学病院

 第8波を迎えた新型コロナウイルスの長崎県内感染状況について、長崎大副学長で同大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授が27日、長崎市内で会見。「医療体制は再び逼迫(ひっぱく)している。休み明けには患者が急増する恐れがあるので、特に高齢者に感染させないよう年末年始は最善の努力をしてほしい」と呼びかけた。

 泉川教授によると、22日時点の累計死者405人のうち、60歳以上が97%超を占める。死者数は感染者の増加に比例して増え、80%以上は今年になって亡くなった。
 25日現在、県内の緊急時確保病床681床に対する入院患者は309人だが、それとは別に施設療養者として、高齢者施設やクラスターが発生した病院などで療養している患者がいる。「入院患者は公表されている数字にプラスして400人近くいる」と指摘した。
 また、12月中旬以降、救急搬送困難事例が急増。長崎医療圏では、消防署員の現場滞在が長時間化したため、平日日中には即時対応できる救急車がない時間帯も発生しているという。さらに、医師や看護師ら医療従事者に感染が広がり、県内では20日時点で少なくとも約260人が休業。病床の運営などに影響が出ている。ストレスにさらされた離職者も相次いでいるという。
 「(1日の新規感染者が)2千人近くになると、コロナとコロナ以外の診療を支える医療体制に大きな影響が出る」と泉川教授。冬休みによる感染機会の増加を懸念し、「県民の皆さんには3密回避やマスク着用、換気など基本的な感染対策の順守をお願いしたい。ワクチン未接種の方はできるだけ打ってほしい」と改めて訴えた。


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