中国ファーウェイがEUV技術を特許申請...米制裁克服なるか?

中国のファーウェイ(華為技術有限公司)が先端半導体製造工程に必須となる「極紫外線(EUV)技術」の特許を申請した。

(参考記事:米専門紙「台湾TSMCの3ナノ工程、競争力なし」 韓国サムスンに逆転機会か

ファーウェイ社は最近、ホームページに「ファーウェイ社がゲームに参入した-中国EUVリソグラフィ機械で突破口」というタイトルの動画を掲載した。(※28日現在は削除)10ナノメートル(nm)以下のプロセスで使用するEUVリソグラフィシステムに使う光源コンポーネントを作る新たな発展を遂げたとする内容だった。ファーウェイは、この特許を活用すれば、IC回路とチップセットの製造工程を改善できると強調した

中国の技術ニュースメディアであるMyDriversは、ファーウェイが先月中旬にEUVリソグラフィ工程と核心構成要素を扱う特許(出願番号202110524685X)を申請したと報じた。 リソグラフィは、半導体を作製する際にシリコンウェハに回路パターンを形成する工程である。 レーザーのような光で回路を刻むが、半導体プロセスがナノメートル単位で微細化する過程で、回路にパターンを描くことが難しくなり、これを克服するために、非常に短い波長のEUVが必須となった。

ASMLのEUV露光装置/ASML Website

7ナノ未満の超微細工程はEUVなしで製造することは不可能であるというのが定説となっている。 現在、世界中でEUV装置を作ることができる企業は、オランダに本社を置くASMLが唯一だ。 この装置を活用して7ナノ未満の半導体を作る企業は現在、TSMCとサムスン電子だけとなっている。 米国は中国で先端半導体を作ることができないよう、14ナノ以下の半導体装置の輸出を禁止した。そのため、ファーウェイが独自にEUVリソグラフィ特許を出願した意味は小さくない。

台湾のデジタイムズによると、中国清華研究所と中国科学技術院も独自にEUV関連技術を開発している。しかし、中国が実際にEUV装置の生産まで漕ぎつけるかは未知数だ。ファーウェイで申請した特許はまだ承認されておらず、EUV装置を作るには1万個以上の部品が必要となる。しかし、それら部品・技術の多くが米国と関連があり、すべての技術を中国のみで独自開発することは不可能だ。

ファーウェイは2020年、当時のトランプ政権による制裁措置により、台湾TSMCなどから半導体チップの供給を受けられなくなり、業績が悪化。それまでサムスンやアップルとスマホ3強の一角を占めていたが、制裁の影響で陥落した。

※アイキャッチ画像:ASMLのEUV露光装置

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