外信「韓国の尹政権、北朝鮮ドローン事件を文前政権批判に利用」 撃墜できず激怒

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の無人機(ドローン)5機がソウル北部で1時間飛行するなど領空侵犯をしたなか、外信からは「韓国の防空網に深刻な疑問が提起された」との指摘が出ている。

(参考記事:韓国紙「露軍ドローンから日本製部品が多数見つかるが…」

AP通信は27日、ソウル発の報道で「韓国軍は5年ぶりに国境を越えた北朝鮮無人機を撃墜できなかったことについて謝った」とし、「今年北朝鮮の強力なミサイル試験発射で緊張が高まる状況で、(今回の北朝鮮無人機領空侵犯事件が)韓国の防空網に深刻な疑問を提起した」と伝えた。

続いて「保守性向の尹錫悦大統領は去る5月就任以後、米国との定期軍事訓練を拡大して北朝鮮の挑発に断固として対処すると明らかにしたことがある」とし、「尹大統領は前任大統領(文在寅前大統領)の対北包容政策を攻撃するためにドローン事件を利用したりした」と付け加えた。

(※AP通信記事URL:https://apnews.com/article/politics-south-korea-north-705284733b16284ca85fefb13594bee7)

実際、尹大統領は27日に開かれた第57回定例国務会の発言で、「去る2017年からドローンへの対応努力と戦力構築がきちんとできず、訓練が非常に皆無だったことを見れば、北朝鮮の善意と軍事合意にのみ依存する北朝鮮政策がどれほど危険なのか韓国国民はよく分かった」と述べ、今回のドローン騒動の責任を事実上、文在寅政権に転嫁した形だ。

保守系紙の朝鮮日報も28日、社説で「文在寅政権が5年間、北朝鮮と《非核化ショー》を繰り広げている間、軍の対比態勢弱化、訓練不足状態が慢性になった」と論じている。

(※朝鮮日報記事URL:https://www.chosun.com/opinion/editorial/2022/12/28/SOGCOTSBSVCVHONH7PXFXZB4QI/)

BBCは「北朝鮮の無人機が最後に国境を越えたのは5年前の2017年6月で、南北間の緊張が最高潮に達した時」であるとし、「北朝鮮のドローンは韓国を監視して攻撃するために使用でき、韓国の安全保障の脅威になる」と伝えた。

(※BBC記事URL:https://www.bbc.com/news/world-asia-64094143)

韓国軍による無人機撃墜は失敗している。26日、北朝鮮無人機の領空侵犯に対応出撃した韓国空軍のKA-1軽攻撃機1機が墜落した。基地から離陸直後に近くの畑に落ちた。他にも攻撃ヘリを動員し20mm機関砲で100発の射撃を行ったが成果は無かった。

韓国のニューデイリー経済によると尹統領は27日、イ・ジョンソク国防長官に対し「なぜ北朝鮮の無人機攻撃に備えていないのか。 過去にすでに似たようなことが何度もあったが、これまで何をしたのか」と問い、強く叱責したと伝えられた。

(※ニューデイリー経済記事URL:https://www.newdaily.co.kr/site/data/html/2022/12/28/2022122800081.html)

(参考記事:露のドローン攻勢に対し、撃墜率70%の宇軍の防御戦略
(参考記事:海外紙「戦車は絶望的に時代遅れの兵器になった」「価格100分の1のウクラ軍携行弾やドローンの餌食に」
(参考記事:韓国軍、40㎜級の小型砲弾6発搭載「榴弾発射ドローン」を来年運用へ

(参考記事:韓国陸軍の監視ドローンが多数墜落(前年比2倍)…その理由は?
(参考記事:英王立研究所「韓国船が北朝鮮への石油瀬取りに関与」「露船と中国船介して」
(参考記事:米国元高官「日本の反撃行使、韓国のいかなる許可も不要」…米国防省系媒体に答える

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