INSPiの杉田さん招き 音重ね相手知るワークショップ 横浜でケアラー家族支援団体

講師を務めた「INSPi」の杉田さん(左)=横浜市鶴見区

 ヤングケアラーとその家族を包括支援する一般社団法人「Omoshiro」(横浜市鶴見区)が18日、人気アカペラグループ「INSPi」の杉田篤史さん(44)を講師に招き、ハーモニーを通じてコミュニケーションを学ぶワークショップ(WS)を行った。参加した子どもたちは、リズムや音を重ねて生まれるハーモニーを楽しんだ。

 会場に、未就学児から19歳までの年齢がバラバラの子どもたちが続々と集まる。スタッフや親と共に3グループに分かれ、リズムや「ジングルベル」の曲に合わせるコーラスのアレンジを考えていく。楽器は自らの体。練習後に全体で合わせると、音が重なってハーモニーが生まれた。

 「音楽は正しい、正しくないではなく、いかにお互いが楽しめる場をつくれるか」と杉田さん。ハーモニーをつくるためには相手に自分の音を伝え、相手が出す音をよく聴いて合わせる必要があるとし、「違いがあるからこそハーモニーができる。違いに嫌悪感や警戒心を持つのではなく、違いを面白いと感じてもらえれば」とWSの狙いを語る。

 同団体の勝呂ちひろ代表理事は、精神疾患を抱える親と暮らし、生きづらさを抱える子どもたちにとって、自らの思いや困り事を伝える力をつける意義は大きいと指摘。イベントでは、ある子どもから出た突拍子もない「かけ声」の提案を周囲の大人が否定せずに、ハーモニーに生かすシーンがあった。「何げないかけ声に意味や体験がつき、翌日も子どもたちの合い言葉になっていた。心に残る経験をつくれてよかった」と振り返った。

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