神奈川・南足柄で順天堂大が認知症判別の実証実験 早期発見へ唾液に着目

市民から唾液の提供を受け、認知症判別マーカーの実証実験に臨む順天堂大学の赤澤智宏教授(右)=南足柄市保健医療福祉センター

 高齢になるほど発症リスクが高まる認知症について、順天堂大学による判別マーカーの実証実験が今月、神奈川県南足柄市内で行われた。大学側は、早期発見の鍵となる唾液に着目。70歳以上の市民から協力を得て唾液を収集し、認知機能の推移と照らしてデータを分析する。現段階で治療薬がない認知症対策として、進行速度を遅らせるなどの有効な手だてが見つかるのか注目される。

 日本の認知症の有病率は2012年時点で65歳以上の7人に1人だったが、25年には5人に1人、60年には3人に1人へと増加が見込まれている。同大では収集した唾液から口内の細菌バランスの解析に取り組んでおり、認知症の傾向などの診断に役立てることを目指している。医師でもある赤澤智宏教授は「すでに大学で400人以上から協力を得ている。何かしら菌やその数が影響し、認知症に関連して変化しているのは間違いない」と強調する。

 これまで大学で協力を得ていたのは認知症の心配がある患者のデータだが、今回協力してもらったのは健康づくりのボランティアなどに関わる市民84人で、市の認知機能テストでも問題がなかった人たち。実証実験に合わせて、改めて認知機能テストも実施した。

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