女王の夢へ フルショット 女子プロゴルフ・櫻井心那 長崎から全国、海外挑戦も目標

得意のドライバーを武器に飛躍を誓う櫻井=長崎市、パサージュ琴海アイランドGC

 昨年、女子プロゴルフのステップアップツアーで歴代最多となる5勝を挙げた櫻井心那(長崎市出身)。賞金ランキング1位に輝き、今年前半のJLPGAツアー(レギュラーツアー)出場資格を得た。2月に19歳になるプロ2年目の有望株は、さらなる高みへフルショットで挑む。

 ◇秋に快進撃
 記録ずくめのルーキーイヤーだった。ステップアップツアーは16試合に出場。6月のECCレディースで初優勝を飾ると、9月の山陽新聞レディースカップから10月の日台交流うどん県レディースにかけ、5試合で4勝を挙げる快進撃を見せた。
 初めて勝った時「どんなふうに喜んでいいか分からない」と語っていた女子最年少プロが最終的に約2500万円を稼ぎ、同ツアーの年間獲得賞金記録を更新。ステップアップでの年間の平均ストローク70.67、パーオン率74.42%、バーディー数176など各種データも軒並みトップで、予選落ちは一度もなかった。
 転機となったのは、5月に出場したレギュラーツアー、ほけんの窓口レディース。名だたる国内トッププロたちは「ラウンドが終わってからもたくさん練習していた」。自身は悔しい予選落ち。「私も頑張らないと」。負けん気に火が付き、練習量がぐっと増えた。
 レギュラーツアー2戦目となった8月の北海道meijiカップは最終ホールまで優勝争いを繰り広げ、2位タイだった。この時にキャディーを務めたのは、1歳上の兄で、長崎県アマチュア選手権V2などの実績がある中大2年の豪。兄妹二人三脚でラウンドする姿も注目を浴びた。「知らない選手ばかりの中、兄がいてくれて心強かった」と感謝する。

 ◇パット向上
 好成績を支えたのはパッティングの向上。これには練習器具「レール」が役立った。昨年の賞金ランキング4位の男子プロ、堀川未来夢のYouTubeを見たのがきっかけ。「おかげでショートパットを自信を持って打てるようになった」
 もともと得意だったドライバー、アイアンショットに加え、パットも安定してバーディーを重ねた。「考え過ぎてもよくないので、目標を決めたら時間をかけずに打つ」。おっとりとした話しぶりとは対照的な大胆さと勝負強さが持ち味だ。
 ステップアップの2試合を残して賞金1位を確定させ、11月にはレギュラーツアーの大王製紙エリエールレディースに参戦。最終日に一つスコアを落としたものの、3日間はアンダーパーで回った。19位タイの順位以上に「上でもやれる」と手応えを感じ取った。

 ◇地元で開催
 長崎日大高3年だった一昨年秋のプロテスト合格時から「将来は賞金女王に」と宣言。これに海外挑戦という新たな目標が加わった。昨年8月にインドネシアで行われたシモーネアジアパシフィックカップ。世界で活躍するキム・ヒョージュ(韓国)らのプレーを間近で見ながら、日本勢トップの4位と健闘した。「国外でやってみたいという憧れが強くなった」と目を輝かせる。
 日本女子ゴルフ界は若手の実力派がひしめく。昨年の国内賞金1位は21歳の山下美有夢。さらに、自身と同期の川崎春花が国内メジャーの日本女子プロ選手権を含む2勝を挙げた。「私にもできないことはないはず。勇気をもらった。今はとにかく練習したい」。その日本女子プロ選手権が地元のパサージュ琴海アイランドGC(長崎市)で開催される今年。まずはシード権確保、初優勝、そして夢の賞金女王へ。長崎から全国を席巻する。

 【略歴】さくらい・ここな 幼稚園の年長時、石川遼に憧れてクラブを握る。山里中3年時に全国中学選手権で4位に入り、その年の福井国体に出場。長崎日大高に進学後、3年時に九州女子選手権で優勝すると、夏の全国高校選手権で県勢初制覇。秋のプロテストに一発合格した。園田謙介プロに師事する。ドライバーの飛距離は約250ヤード。目標のゴルファーは小祝さくら。好物はうなぎ。乃木坂46をはじめ、坂道グループのファン。賞金の使い道は「家がほしいかな」。身長166センチ。


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