栃木県内2022年の交通死50人 3年連続最少、高齢者が7割に

県内人身事故発生件数と死者数の推移

 2022年の栃木県内の交通事故死者数は前年比6人減の50人で、1952年以降の最少を3年連続で更新したことが4日、栃木県警のまとめで分かった。2000年の220人と比べ、4分の1以下に減少した。安全性の高い車の増加や医療技術の進歩などが要因とみられる。一方、死者数に占める65歳以上の高齢者の割合は初めて70%に達し、過去最高になった。県警はさらなる死者数の減少に向け、高齢者の事故防止策に注力する。

 県警交通企画課によると、昨年の年間死者数は車の保有台数が少なかった1948年の37人、51年の49人に続き、過去3番目に少なかった。ピークだった71年の485人からは、約50年で10分の1近くまで減少した。人口10万人当たりの死者数は2.60人で、全国平均の2.08人を上回った。

 同課は死者数の減少の要因として、広報活動や取り締まりによる県民の交通安全意識の高まりを挙げる。衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)など先端の安全技術を搭載する車の増加や、医療技術の進歩なども影響しているとみられる。

 交通死亡事故は昨年、49件発生。死者のうち、歩行中は18人で前年の10人から8人増えた。車の運転中や同乗中は7人減の22人で、2020年と並び過去最少に。自転車乗車中も2人減の5人で最少だった。

 高齢化を背景に、高齢者の死者は5人増の35人。高齢の運転者側に原因があった交通死亡事故も8件増の24件に上った。

 一方、人身事故の発生件数は63件減の3876件で、ピークだった03年(1万6028件)の4分の1ほどに減った。負傷者は32人減の4634人だったのに対し、重傷者は31人増の550人に上った。

 同課は高齢運転者に身体能力の衰えを自覚してもらうような広報啓発活動に力を入れる考え。担当者は「各種取り組みを進め、1件でも悲惨な事故を減らしたい」としている。

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