広島サミット「核なき世界への機運 再び」 岸田総理 単独インタビュー

広島選出の 岸田文雄 総理が就任して、1年3か月が経ちました。岸田総理は、RCCの単独インタビューに応じ、広島サミットへの意欲などを語りました。

あと130日余りとなったG7広島サミット。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器使用の危機が高まる中、「核兵器のない世界」へ向けて、サミットをどう位置づけるのでしょうか?

岸田文雄 総理大臣
「ロシアによるウクライナ侵略などの情勢をみる中で世界的に核兵器のない世界を目指すという機運・雰囲気、みんなでがんばろうという雰囲気がだんだん盛り下がっているのではないか、こうした心配する声がどんどんと強くなっています」

「平和に対する思い、核兵器のない世界を目指す思いを被爆地から発信することによって、世界の核軍縮・不拡散の機運を再び広島から盛り上げる、こういったきっかけにすることができればと強く思っています」

サミットでは各国首脳に原爆資料館の視察や被爆者との対面を求める声が上がります。

岸田総理は、世界のリーダーに被爆の実相に触れてもらうことは重要としたうえで…

岸田総理
「G7の日程は議長国が1人で決めるのではなくして各国の議論の積み重ねで日程を決めるということですので、今、歴史を画するような課題が山積しています。これ、すべてG7サミット2日間の日程の中で議論し、消化していかなければいけない。その中で最大限、被爆の実相に触れてもらうことの大切さ、日本の思い、これを訴えながら、ギリギリまで調整したいと思っています」

核兵器の使用や保有・威かくなど全面的に禁止する核兵器禁止条約が発効して、まもなく2年が経ちます。

去年6月には、オーストリアで初めての締約国会議が開かれました。

ことしは11月末から2回目の締約国会議がニューヨークで開かれる予定です。この条約とは距離を置く日本政府にオブザーバーとしてでも参加を求める声は多く上がります。

岸田総理は、核兵器禁止条約について「核兵器のない世界を目指す上で出口にあたる重要な条約だが、核保有国が一国も参加していない」とあらためて指摘したうえで…。

岸田総理
「唯一の戦争被爆国である日本の役割は、核兵器国をいかに核兵器禁止条約に近づけることができるかということだと思います。唯一の同盟国であるアメリカとの信頼のもとに核兵器国をどれだけ核兵器禁止条約に近づけることができるか、これが問われるんだと思っています」

核軍縮の必要性を語る一方で、国際情勢が緊迫する中、岸田政権は防衛費を増やしていくなど、核抑止力を含めて日本の防衛力の強化にも力を入れています。この姿勢に矛盾を感じている有権者もいます。そうした声に岸田総理は…。

岸田総理
「矛盾するのではないかとおっしゃる方もいますが、そうではなくして、今、厳しい現実の中で日本国民の命・暮らしをどう守るか。この厳しい現実から核兵器のない世界という大きな目標に向けて、どのような道筋でつなげていくのか、多くの核兵器国をどう巻き込んでいくのか、これを示していく。これが、わたしに課せられた課題だと思っている」

「これから先、どれだけ厳しい道があるかもしれませんが、理想の松明だけは絶対に手放してはならない。あきらめてはならない。これは、みなさんと共有しながら努力を続けていきたいと思っています」

核兵器のない世界に向け、広島選出の総理大臣がどう、かじを取っていくのか―。G7広島サミットは、5月19日から21日の日程で開かれます。

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