「一人ひとりの声を大切に」「安心感のある温かい社会を」12年ぶりにリーダー変わる静岡市長選 新人同士の一騎打ちの様相か【2023新たな道筋】

「LIVEしずおか」では「2023新たな道筋」と題し、2023年の静岡を展望します。今回は静岡市長選です。静岡市を3期12年けん引した田辺信宏市長の不出馬表明によって、様相は一変し、新人同士の一騎打ちの構図が固まりつつあります。12年ぶりにリーダーが変わる大きな転換点。かじ取り役に名乗り出た2人の思いとは。

2022年の年末の早朝、誰よりも美しいラジオ体操を披露したのは県議の山田誠さん(60)。「生まれ育った静岡市を絶えず成長する街にしたい」と、いの一番に市長選への出馬を表明しました。

<市長選に出馬表明 山田誠県議>

「みなさんも元気で。あったかい、手があたたかい」

地元中心に地域を回るスタイルが山田流です。

<市長選に出馬表明 山田誠県議>

「1人1人の市民の声を大切にする。そういう市政にしていかないといけない。それには聞くことと説明すること。この2つが一番重要」

Q.ラジオ体操もその一環?

「やっぱりいろんな話を聞けるので、皆さんの生の声が大事だと思う」

自民党の政治家として30年以上活動してきた山田さん。

<県議会議長時代の山田誠県議>

「知事におかれましては今後これらの申し入れを真摯に受け止め、誠実に対応していただくよう改めてお願いをいたします」

県議会議長として、知事に厳しい姿勢をとることも。満を持して挑む静岡市長選。しかし、身内のはずの自民党は、山田さんからの推薦願を拒否しました。もともと現職支援でまとまっていた自民党、山田さんが出馬を断念しなかったため、関係がこじれました。

<市長選に出馬表明 山田誠県議>

「自民党員ではあるけど、静岡市民の一人ひとりの声を聞いてしっかりと政治を進める市民党という形でいく。市民一人一人の力を借りる」

静岡市の一番の課題は、1年で5000人にも及ぶ「人口減少」だと話します。

<市長選に出馬表明 山田誠県議>

「若い世代に対しての支援をどうやっていやっていくのか。『私はこういう夢をかなえたいんだ』『静岡でこういう夢をかなえられるんじゃないか』という希望を持ってもらえるようにしたい」

もう一人の候補予定者の姿は1月5日、静岡県吉田町のビニールハウスにありました。

<市長選に出馬表明 難波喬司元副知事>

「いや、ほんと、うまいですよこれ」

農業分野の学びがライフワークの一つという元副知事の難波喬司さん(66)。チルド惣菜を手掛ける企業の研究所を訪れていました。

<市長選に出馬表明 難波喬司元副知事>

「これ、でかいですよね。これいいですね。これはもう」

最先端の有機農法に触れて、終始、興奮気味でした。

<市長選に出馬表明 難波喬司元副知事>

「SDGsとか言っているだけではダメで、循環型社会にするにはそれが成り立つシステムが必要。こういうのはまさにシステム作り。目からうろこ、どころではなくて、すごい可能性を感じたのでうれしくてしょうがないですね」

岡山県出身の難波さんは、国土交通省を経て、静岡県副知事に就任。川勝平太知事の右腕として、リニア問題や熱海土石流など、最前線に立ちました。

<市長選に出馬表明 難波喬司元副知事>

「(いまの静岡市は)将来に対して安心感がないんだと思う。安心感のある社会、温かい社会を作ると静岡に戻ってくるだけじゃなく、静岡に積極的に住みたいという方々が増えてくる」

経済界からの熱烈なラブコールを受けた難波さん。市議会の与野党も相乗りで支援する構えです。盤石に見える組織的支援ですが、一枚岩かというと、そうでもありません。

<自民党静岡支部 井上恒彌幹事長>

Q.難波さんに対しては一部でアレルギーがあるか

「あります。一部じゃなくて、たくさんあります」

自民党は川勝知事とは敵対関係。知事の側近だった難波さん支援を疑問視する意見は、少なからずあるため、知事との一定の距離感を政策協定で確認しました。

<市長選に出馬表明 難波喬司元副知事>

「政策をどうやって実行して、結果を出すかが大事。結果を出すところを私は強化していきたい」

すでに「草の根」対「組織」という対照的な構図が垣間見える静岡市長選。課題山積の政令市のリーダーを決める選挙は、4月9日です。

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