FW福田師王が技あり同点弾 努力家のストライカー、悔しさ糧に世界へ 両親が「師王」に込めた思いとは【高校サッカー神村3位】

前半、ゴール前に迫る神村・福田=国立競技場

 第101回全国高校サッカー選手権準決勝は7日、東京都の国立競技場であった。鹿児島県代表の神村学園は、岡山学芸館と90分を戦い3-3の同点、PK戦(1-4)の末に敗れた。同校初の決勝進出はならず3位だった。

 点を取って取られてのシーソーゲーム。神村は前半6分に先制点を許したが、FW福田師王のゴールで追いつき1-1で折り返す。

 後半に大迫塁のフリーキック、中江小次郎のヘディングシュートで2度勝ち越したが、追いつかれPK戦に突入。神村は2本を失敗し、岡山学芸館は1本も外さなかった。

■「持ち味出せなかった」

 「持ち味を出せなかった。決定力がなかったしPKも外した。申し訳ない」。最も注目を集めたストライカーから出たのは、反省の言葉ばかりだった。

 FW福田師王(しおう)はフィジカルの強さと、動き出しの速いプレーで観客を驚かせた。天性の点取り屋は複数に囲まれても結果を残す。前半38分、金城のシュートをGKがはじき、そのボールをゴールに突き刺した。一瞬の判断で相手のマークをはがす、技ありの同点弾だった。

 鹿屋市で育ち、高卒でドイツに渡る実力をつけた福田。だが神村中時代は、周囲とのレベル差を感じた時期もある。それでも努力を怠らなかった。高校入学後に体重を16キロ増やし、「自分に合う体になって動きやすくなった」。50メートルのタイムは1年時の6秒70から1年間で6秒20まで縮めた。お尻の筋肉を鍛えたことで、圧倒的なジャンプ力も手に入れた。

 「人を導くことができる、その道で最も優れた人になってほしい」。師王という名前には、両親のそんな願いが込められている。「鹿児島を盛り上げるので、ずっと応援してほしい」。将来の日本代表候補は、世界に羽ばたく。

前半38分、同点ゴールを決める神村・福田=国立競技場
前半、神村学園・福田師王選手の同点ゴールに沸く応援席=7日午後0時43分、東京都の国立競技場

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