“大先輩”の生家へ全力疾走 宇都宮高野球部が新春ランニング

荒井退造の生家に到着した部員たち

 【宇都宮】太平洋戦争末期の沖縄県警察部長として、県民の疎開などに尽力した荒井退造(あらいたいぞう)の母校・宇都宮高の野球部員が7日朝、同校と上籠谷(かみこもりや)町の荒井の生家間を往復する新春ランニングを行い、大先輩の人生の道のりに思いを巡らせた。

 正月明け恒例の行事。1、2年生18人が午前8時半にスタートし、片道約13キロを、一番乗りは50分ほどで軽快に走り切った。白い息を吐きながら続々と到着した部員たちは、荒井の兄の孫である荒井拓男(たくお)さん(74)らの出迎えを受け、荒井の顕彰に取り組むNPO法人菜の花街道の関係者が作った豚汁で体を温めた。

 荒井に詳しい黒羽高元校長の室井光(むろいひかる)さん(86)から、荒井が沖縄で果たした功績について説明を受けた後、近くにある墓を参拝した。

 部員らは折に触れ荒井について学んでおり、3月下旬には、沖縄の戦時行政を荒井とタッグで率いた知事島田叡(しまだあきら)の母校・兵庫高で親善試合も予定している。

 主将の2年伊澤佑哉(いざわゆうや)さん(17)は「偉大な先輩が宇高で何を学び、地獄の沖縄戦でどう生かしたのかを知り、伝えていきたい」、2年小島有生(こじまゆうせい)さん(17)は「周りに流されず信念を貫く生き方は、宇高が掲げる主義の理想」と話し、復路へ出発した。

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