真鶴町で採掘される石材「本小松石」を広めようと、町民が考案した調理器具などのブランド「石屋の台所」が海外進出を果たした。現在、シンガポールで展示販売中で、地元石材店が一つ一つ手作りする芸術品のような商品に「石材を知ってもらうきっかけになったら」と、関係者は販路拡大に奔走している。
江戸城の築城や大正、昭和両天皇の墓にも使われ、耐久性に優れているとされる本小松石。主に墓石として使用され、一般家庭で使われることはほとんどないという。
この石材を活用し新ブランドを考えたのが、町内の女性2人だった。
2020年、衣服などを手作りしている自営業ストービー百代さん(50)が日本貿易振興機構(ジェトロ)の地域の技術や特色を生かした商材の海外販売を支援するプログラムを知り、町おこしなどに関心があるヤブタ建設不動産の永島絢子さん(36)に相談。2人は「半永久的に使える石の魅力を生かし、丁寧に愛着を持って使いながら子どもに受け継がれるような台所商品を」との思いに至ったという。