じつは埼玉から始まった「成人式」、発祥の地・蕨では今も「成年式」と呼ぶ 新成人が決意「やるしかない」

成年式発祥の地記念像の前で実行委員会が記念撮影=9日、蕨市

 埼玉県蕨市の市民会館で9日、20歳になった青年を祝福する「成年式」が開催された。対象者約610人のうち409人が出席した。コロナ禍で秋に延期されたり、2部制に分割開催されてきたが、一堂に会する1部制での開催は3年ぶり。

 第2次世界大戦の敗戦で焦土となった中で、青年団長だった髙橋庄次郎氏(後に市長や県議)らが「青年こそ国土再建の力に」と提唱して20歳になった青年を招き、敗戦の翌年1946年に同市で「成年式」を開催した。これがその後全国で広まった成人式の端緒とされる。同市ではいまも「成年式」と名乗っている。

 式典で頼高英雄市長は「コロナ禍でいろいろ大変なことがあったが困難を乗り越え、晴れやかな皆さんの顔を見て喜ばしい。新しい蕨を築くのは皆さん。充実した人生を送ってほしい」と激励した。

 式典の後、実行委員会の2人がインタビューに応じた。家電量販店で2年働き、今年2月から不動産販売の仕事に就く具志堅英さんは「経済は厳しいけれど頑張ります。やるしかない。蕨を有名にします」。県立大学2年生の植木優姫さんは「高齢者福祉の現場で現状を改善します」と決意を語った。

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