稚児ら見事に“鬼”射抜く 新春行事「シノマタ」 新上五島・政彦神社 

介添え役の手助けを受けて的を射る稚児ら=新上五島町、政彦神社(川崎太郎さん提供)

 長崎県新上五島町奈摩郷の政彦神社(吉村政徳宮司)で7日、「シノマタ」と呼ばれる的射り行事があり、地域住民の無病息災と子どもたちの健やかな成長を祈願した。
 シノマタの語源は「篠(しの)的(まと)」「芯(しん)の的(まと)」ともいわれているが詳細は不明。吉村宮司によると、江戸時代から続く新春行事で、稚児らが鬼に見立てた的を射抜き、災いを退散させる意味がある。的の中央の「鬼」に当たると5点、周囲の「天、月、日、土」だと2点に換算して累計する。子どもが儀式矢3本を放った後、介添え役が「108点」になるまで的を射続け、人間の煩悩を払う。
 今年挑戦したのは町立青方保育所の年長、川崎桜羽(さわ)ちゃん(5)、同青方幼稚園の年長、浜辺蒼生(あおい)ちゃん(6)。住民らが見守る中、介添え役の手助けを受けて的を射抜いた。桜羽ちゃんは「2本目はちゃんと真ん中を狙って、当たったからよかった」、父親の太郎さん(38)は「稚児が中心に当てたのは、10数年ぶりと聞いてびっくり」と笑顔で話した。


© 株式会社長崎新聞社