長崎県「関係人口拡大」に注力 オンラインで交流活性化 ワーケーション促進も

オンラインコミュニティーの参加者(県提供)

 長崎県は人口減少対策の一環として、関係人口の拡大に力を入れている。オンラインコミュニティーを民間と開設し、県内外の交流を活性化。都市圏の企業を対象に県内でワーケーションを体験してもらう事業も始めた。新型コロナウイルス禍で増えつつある「転職なき移住」や、都市と地方の「2拠点居住」の浸透にも期待を寄せる。
 関係人口は、居住してはいないが定期的に訪れたり、行事に参加したりして断続的に地域に関わる人たちで、将来的には移住につながる可能性がある。県によると、2021年度の県内移住者は1740人。県総合計画に25年度目標として掲げる3200人達成に向け、「今年はさらに関係人口の裾野を広げたい」としている。
 県は昨年、まちづくりに関わる市民らの任意団体「長崎・新たな暮らし方会議」と連携協定を締結。同11月にオンラインコミュニティー「長崎友輪家(ながさきゆーりんちー)」を開設し、共同運営している。これまでに330人が登録。ビジネスチャット「LINE WORKS(ラインワークス)」を活用し、長崎の暮らしなどについて会話している。県担当者は「行政の窓口を通さず口コミを頼りに移住する人も増えている。口コミの部分をこのコミュニティーで補完できれば」と話す。
 参加しているのは移住希望者や地域情報を発信したい人などで、居住地の県内と県外の割合はほぼ半々。今後も随時、メンバーを増やしていく考えだ。「いい意味で緩いつながり」(県担当者)が生まれ、奈良県出身で諫早市在住のライター、同会議共同代表を務める古地(こち)優菜さん(38)は「ざっくばらんな会話でリアルな長崎の暮らしや人の魅力が伝わる」と効果を語る。
 一方、コロナ禍でリモートワークが普及し、余暇と仕事を両立するワーケーションへの注目が全国的に高まっている。県は昨年、富士通と協定を結び、今月末に雲仙市で5人程度がワーケーションを始める予定。昨年12月から今月にかけては、都市圏から5社の社員を雲仙など2市2町に招待するマッチングツアーも実施する(予定含む)。
 県だけでなく、佐世保市や五島市なども独自に受け入れ促進に動いており、新年度はさらに活発化しそうだ。県は継続して企業に働きかけていく方針で「職種によっては場所にとらわれない働き方が進んでいる。しっかり需要を取り込みたい」と意欲をみせる。

オンラインコミュニティー内の会話画面(県提供)

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