亡くなった“唯一の島民”の飼い猫2匹 保護猫カフェオーナーが引き取る 長崎・五島

下村さんが黒島から引き取った猫のまあくん(奥)とお嬢ちゃん(下村さん提供)

 長崎県五島市下崎山町の「保護猫カフェにゃんこはうす」のオーナー、下村靖代さん(56)が、同市富江町の黒島に1人で暮らし、昨年夏に亡くなった70代女性が飼っていた猫2匹を引き取った。「女性に代わって、家族として幸せにしたい」と話している。
 下村さんは2018年に同店をオープン。殺処分される猫をゼロにしたいと、県の助成を受けて野良猫に不妊去勢手術を施すなど地域猫活動にも取り組んでいる。
 19年3月、大阪府で野良猫の保護活動をしている団体と黒島に渡り、女性宅に住み着いていた2匹を預かった。市内の動物病院で不妊去勢手術をして、再び女性に返した。女性はその際「返してもらえなかったらどうしようと思っていた」と安堵(あんど)した様子。2匹も自宅に戻る女性の後を付いて歩き、慕っていたのを覚えているという。
 昨年8月に女性が亡くなったことを知り、捕獲器を持って黒島へ。計4回渡って野宿もしながら2匹を保護した。いずれも雑種で年齢不詳。雄を「まあくん」、雌を「お嬢ちゃん」と呼んでいる。
 下村さんは「女性は普段から愛情を持って接していたのだと思う。(自身も)不妊去勢手術で関わったので引き取る責任があった」とした。また、他の二次離島でも野良猫が多い島があることから「人が少なくなったり、いなくなったりすると猫だけ取り残される。野良猫には餌を与えないなど、島外から訪れた人たちにも責任のある行動が必要ではないか」と語った。


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