島の活性化、スポーツで 22日に初のトレイルレース 長崎・新上五島

レースコースの城山頂上へ駆け上がる川崎さん=新上五島町(川崎さん提供)

 長崎県内の離島では交流人口の拡大や健康増進につなげようと、雄大な自然を駆け巡るマラソンやサイクリング、トライアスロンなどスポーツイベントが盛んだ。新上五島町は22日、同町出身で日本を代表するトレイルランナー、川崎雄哉さん(38)=静岡県=が監修した山岳コースを走るレースを初めて開催。地元では参加者だけでなく、観戦者も楽しめるよう受け入れ態勢の工夫に余念がない。スポーツで島おこしを狙う新年のイベントを紹介する。
 トレイルランニングとは登山道や林道、砂利道など未舗装路を走るスポーツ。同町が初開催する「川崎雄哉カップ・上五島トレイル」は、地域資源を生かして交流人口の拡大や関係人口の創出につなげようと、日本のトレラン界で活躍する川崎さんに白羽の矢を立てた。川崎さんも「町のためになるなら」と二つ返事で快諾したという。
 川崎さんは町立有川中、県立上五島高で陸上部に所属。2002年の同高3年時には全国高校総合体育大会(インターハイ)をかけた北九州大会に1500メートルで出場した。卒業後、陸上自衛隊に入隊。陸上部で競技を続け、走ることへの情熱はますます強くなった。
 転機は15年、勤務地の大村市で開催された「多良の森トレイルランニング」だった。トラックやロードでは勝てなかった陸上部の仲間に勝って、優勝。「山岳レースに強い」という自分の可能性に気づいた瞬間だった。
 それから本格的にトレランを始め、翌16年には全国のトップ選手が集う大会「ハセツネCup」で優勝。一気に日本の頂点に登り詰めた。
 川崎さんはトレランの魅力について「自然の中で心が洗われ、時間を忘れる。ロードレースと違ってさまざまな山に出合い、飽きることがない」と語る。
 今回の大会はスタッフとして参加する。急峻(きゅうしゅん)な山が海に迫った上五島ならではの地形を生かし、眺望も楽しめるコースを新魚目地区に作った。初心者でも安心して走れることを念頭に置いたという。川崎さんは「自分が大好きなスポーツの大会を、大好きな島で開催できることはこの上ない喜び。島の人々を元気づけ、いつかは五島を代表するイベントに育ってほしい」と開催を心待ちにしている。

 川崎さんの主な成績 ▽ハセツネCup2016優勝▽IZU Trail Journey2020優勝▽信越五岳トレイルランニングレース110キロ優勝▽球磨川リバイバルトレイル100マイル優勝▽多良の森トレイルランニング4連覇(2015~18)▽ワールドマウンテンアンドトレイルランニングチャンピオンシップス2021のロングトレイルレース16位(日本人最高)


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