インディカードライバーのロッシ、マクラーレンのF1チームとインディカーチームの密接さと積極的な関与に注目

 NTTインディカー・シリーズに参戦するアレクサンダー・ロッシは、マクラーレンはインディカーに参戦することで、同シリーズのドライバーたちの才能について深い洞察を得ることができると考えている。

 レース活動の多様化を目指すなかで、マクラーレンは数年前にシュミット・ピーターソン・モータースポーツに関心を持ち、その後2021年11月にチームの過半数株式を取得してチーム名をアロウ・マクラーレンSPとした。マクラーレンがインディカーで存在感を増した結果、パト・オワード、アレックス・パロウ、コルトン・ハータら数名のドライバーがマクラーレンとのF1テスト契約を結んだ。

コルトン・ハータがMCL35Mをドライブ

 2023年にアンドレッティ・オートスポートからアロウ・マクラーレンSPに移籍するロッシは、マクラーレンにはインディカーの若い才能を精査して評価する独自の視点があり、それによりドライバーたちにF1へのルートを提供していると考えている。

「彼らは現実的なので、このチャンピオンシップにおけるドライバーたちのパフォーマンスをかなり直接的に理解できるだろう」とロッシは『RACER』に語った。

「彼らは自分たちの装備について理解できるだろうし、何か特別なことができたレースを理解できるだろう。もしくは簡単に分析できる予選セッションについて理解できるだろう。なぜなら彼らは積極的に関与しているからだ」

「ザウバーやアルファロメオがインディカーレースやドライバーを見るのはずっと難しいことだ。シーズンについて、ドライバーの素晴らしいパフォーマンスの結果なのか、いくつかの状況で幸運に恵まれてタイトル争いができたのか、彼らにはわからないだろう。関与していないと理解することはいっそう難しくなる」

「だからマクラーレンのF1チームとインディカーチームがどれだけ密接かということを考えると、間違いなく彼らは差を埋めるだろうと思う」

「そしておそらくはドライバーたちにチャンスを与えるだろう。ふさわしいものなら、必ずしもそれが組織内のチャンスである必要はない。もし本当に素晴らしいことをしている誰かがいて、僕たちみんなを打ち負かしていたら、ここは小さな世界だからニュースはすぐに伝わるよ」

ランキング8位でシーズンを終えたローゼンクヴィストと代表のザク・ブラウン

 ロッシは、インディカーでのトップドライバーとしての地位を確立する前は、F1レース参戦を目指しており、2015年に小規模チームのマルシャからデビューした。ロッシはそのシーズンの残り5戦をマルシャで戦った。彼のベストリザルトはオースティンでの12位だった。31歳のロッシは、将来マクラーレンから戦いの場に戻ることに興味を持つだろうか?

「率直に言ってノーだ。唯一の魅力は、オースティンかマイアミのパスを手に入れられるかもしれないことかな! 正直なところ、僕にとってその道は終わったんだ」とロッシは認めた。

「自分が得ることができたチャンスに心から感謝している。僕はそこで膨大な数の人間関係と生涯にわたる友情を築き上げたよ。アメリカ人としてそうしなければならなかった」

「僕にはインディカーで達成したいことがたくさんあって、それが集中していることなんだ。アメリカのスポーツカーの世界でさらに多くのことを達成したいし、ル・マンに戻る可能性もある。それが今僕がいるところだ」

「もしマシンのテストができるチャンスがあったら、もちろん飛びつくよ。なぜなら他の何よりも素晴らしいマシンだと今でも思っているからね。走行するのは楽しいだろう」

「でも積極的にプレッシャーをかけるとか、そうした方向へ戻るかということについては、そこは僕の居場所ではないし、注意を向けたい場所でもないということだ」

2015年F1第18戦ブラジルGP アレクサンダー・ロッシ(マノーF1チーム)

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