インディカー王者ウィル・パワーがデイトナ24時間に初参戦。メルセデスAMG GT3をドライブへ

 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦するサンエナジー1レーシングは、NTTインディカー・シリーズの2022年チャンピオンで、インディ500優勝経験も持つウィル・パワーを、シーズン開幕戦のデイトナ24時間レースで起用すると発表した。

 1月28〜29日にアメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイを舞台に行われるロレックス24・アット・デイトナ(デイトナ24時間)で、パワーは同じくアメリカ在住オーストラリア人であり、サンエナジー1の代表を務めるケニー・ハブルとともに参戦を果たす。

 ふたりはメルセデスAMG所属ドライバーのファビアン・シラー、シルバードライバーのアクシル・ジェフリーズとともに、GTDクラスに参戦する75号車メルセデスAMG GT3 Evoのステアリングを握る。

■若き日のライバルとタッグを組むことに

 スポーツカーレースへのデビューが決まったパワーは、インディカーの歴史において最も成功したドライバーのひとりだ。チーム・ペンスキーのスターは2014年と2022年にタイトルを獲得し、2018年にはインディ500でも優勝している。

 41歳のパワーは、ハブルの故郷であるサーファーズ・パラダイスから数時間のところで育ち、ふたりはナショナル・フォーミュラ・フォード選手権で戦っていた。

「デイトナ24時間は、ほとんどのドライバーのバケツ・リスト(※いわゆる「死ぬまでにやっておきたいこと」のリスト)に書かれている象徴的なイベントであり、この機会を与えてくれたケニーに感謝しなければならない」と、パワーは語っている。

「より重いGTマシンをドライブし、うまくいけばオーストラリアのバサースト1000やバサースト12時間などでのさらなるドライブに向け、経験積むことを楽しみにしている」

「ケニーと僕は何年も前にフォーミュラ・フォードのレースで対戦していたのに、今はチームメイトになるなんて面白いものだ」

「彼はレースの夢を追うのではなく、ビジネスの道を選び、明らかに信じられないほどの成功を収めている。彼が人生の後半にレースを楽しみ、年を重ねるごとに向上していく様を目にするのは素晴らしいことだ」

「ケニーは明らかにビジネスで成功するために必要なことを知っており、それらすべての教訓を彼のレースに活かしている。昨年のバサースト12時間での彼の勝利は、それを証明している」

 一方、ハブルは6回目のデイトナ24時間レース出場となり、2021年のGTDクラス2位を上回る成績を目指している。

 ブロンズドライバーのハブルは、2022年のIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジで3度目のプロ/アマドライバーズタイトルを獲得し、バサースト12時間も制している。

「ウィルは素晴らしい才能の持ち主であり、純粋な人間であるため、デイトナでの24時間イベントにおいて貴重な貢献をしてくれることを期待している」とハブルは言う。

「彼は何を運転しても速いと評判で、すぐに我々のギヤでもスピードに乗れるようになると確信している」

「ウィルと僕は、90年代後半にフォーミュラ・フォードのレースで対戦して以来の友人で、現在、ノースカロライナ州にあるお互いの家が数マイルしか離れていないのは、なんとも皮肉なことだ」

「まだ子どもった1999年にゴールドコーストで開催されたインディカー併催のフォーミュラ・フォードで僕らは一緒に表彰台に立ち、いつかインディカーでレースすることを夢見ていたんだ。ウィルはその夢と、もっと大きなものも実現させた。僕は彼をとても誇りに思っている」

「僕、ウィル、ファビアン、アクシルの混合チームは競争力があると思うし、デイトナのレースウイークでロレックスの時計を獲得できればと思っている」

 サンエナジー1は当初発表された60台のエントリーリストに含まれていなかったが、先週、ミシュラン・エンデュランス・カップへの参戦を申請し、デイトナにおける61台目のエントリーとして認められた。オレンジのリボンをつけたメルセデスは、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間、そしてプチ・ル・マンにも参戦する予定だ。

2022年IGTC第1戦バサースト12時間で優勝したサンエナジー1・レーシングの75号車メルセデスAMG GT3

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