ツインバード(新潟県燕市)、第3四半期は上期の営業損失から黒字転換

株式会社ツインバード 本社

株式会社ツインバード(新潟県燕市)は12日、2023年2月期第3四半期決算(連結)を発表した。

売上高は73億2,000万円(前年同期は95億6,400万円)、営業利益は△4億3,600万円(同6億円)、経常利益は△3億2,400万円(同5億5,100万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は△2億4,900万円(同3億5,700万円)で減収減益となった。

ツインバードは2020年4月に公表した中期経営計画として、「TWINBIRDブランド価値向上」「経営品質の向上」「成長事業の進展」を基本戦略に掲げ、事業構造を筋肉質に転換し財務体質を強化するとともに、成長事業(FPSC事業)の進展に向けた取り組みを進めてきた。

中期経営計画2年目となる前期には、新型コロナワクチン接種需要に伴う冷蔵庫、FPSC(フリー・ピストン・スターリング・クーラー)製品の売上が大きく業績に寄与したことなどにより、中期経営計画3年間の累積業績目標を1年前倒しで達成するとともに、財務体質の強化が計画どおり進んだ。

しかし、2023年2月期第3四半期連結累計期間においては、前期新型コロナワクチン接種に伴うFPSC製品大型案件の需要が一巡したことに加え、原価高騰や急激な為替変動などにより調達コストが上昇。また、巣ごもり需要の後退を受けて上期は前年同期より減収減益となった。

一方、昨年9月より10%以上の大幅な価格改定を実施し、10月には戦略的新製品である中型冷蔵庫を発表、全国の家電量販店約1,000店舗へ導入するなど大型新製品を集中投入。これらにより、上期の営業損失4億8,000万円から当第3四半期連結会計期間(3ヶ月)では営業利益4,400万円への黒字転換を実現している。

2023年2月期第3四半期決算のセグメントごとの経営成績は以下の通り。

家電製品事業

家電製品事業においては、原価高騰と3月以降の急激な為替変動などによる調達コストの上昇、また巣ごもり需要の一巡や物価上昇などに伴う家電製品の買い控えなどの影響を受けて、上期は前年同期より減収減益となった。

一方、昨年9月より10%以上の大幅な価格改定を実施、10月には社名変更及びライフスタイルメーカーへの変革と戦略的新製品である中型冷蔵庫2機種を発表し、全国の家電量販店約1,000店舗へ導入するなど大型新製品を集中投入した。

この結果、家電製品事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は67億5,400万円、セグメント利益は1億3,200万円となり、当第2四半期連結累計期間におけるセグメント損失7,900万円から黒字転換を実現した。

なお、家電製品事業については、年末年始商戦や新生活商戦における販売需要が最も多くなるため業績に季節的変動があり、売上高および利益は第4四半期連結会計期間に集中する傾向がある。

FPSC事業

FPSC事業は、新型コロナワクチン接種に伴う大型案件の需要が一巡し、前年同期より大きく減収減益となった。ワクチン運搬庫のリフレッシュサービスなど需要のすそ野が広がり、コロナ禍前(2019年度)と比較して売上増加傾向にあるものの、減益影響のカバーには至っていない。

一方、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種に向けて、前期に引き続きワクチン運搬庫のメンテナンス(リフレッシュサービス)を3,000台(総累計約9,000台)受注し、昨年10月より出荷開始している。

この結果、FPSC事業の当第3四半期連結累計期間における売上高は5億6,600万円、セグメント利益は1億3,900万円となった。

連結業績予想などの将来予測について

家電製品事業の当第4四半期連結会計期間においては、昨年9月に実施した10%以上の価格改定が順次進み、上期のサプライチェーン混乱の鎮静化を背景に昨年12月調達分から大幅な原価低減を実施、さらにローコストオペレーション徹底による経費削減により大きく収益性が改善する。

また、ツインバード製品の年間最大需要期である年末商戦及び新生活商戦において、当第3四半期連結会計期間に投入した「感動シンプル」ブランドラインの戦略的新製品第二弾である中型冷蔵庫などの新製品、アサヒビール株式会社向け家庭用ビールサーバーを含む大型OEM新製品などの売上増加により大幅な業績回復を見込んでいる。

FPSC事業については、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種に向けて受注したワクチン運搬庫のメンテナンス(リフレッシュサービス)3,000台を昨年10月から12月にかけて出荷完了。またワクチン運搬庫ビジネスのグローバル展開として、外務省とJICA(独立行政法人国際協力機構)が緊急無償資金協力として手掛ける「ラスト・ワン・マイル支援」に参画しており、セネガルなどの途上国向けとしてワクチン運搬庫160台を出荷予定。

医療用以外の分野においては、加速する脱炭素の動きをとらえ、省電力・低排熱・フロン不使用といったFPSCの優れた省エネ性能を活かし、脱炭素に貢献する次世代の産業用冷却装置として需要の開拓を進める。

通期業績予想は、前期決算短信発表時(2022年4月13日)に公表した通期業績予想数値より変更はない。通期における売上高は130億円、営業利益は2億8,000万円、経常利益は2億4,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1億7,000万円を予想している。

配当予想も前期決算短信発表時公表から変更なく、期末配当は1株当たり10円とし、年間配当は1株当たり13円を予想している。

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