真鶴の小正月行事「どんど焼き」 不燃物の持ち込みに苦慮 プラスチック製の正月飾りなど 環境保全に配慮し存続へ

町民が正月飾りを持ち寄る回収場所=11日、真鶴町真鶴

 小正月の伝統行事「どんど焼き」が14日、真鶴町岩の岩海岸で実施される。町では約30年前から町内の複数自治会が合同で各家庭の正月飾りを燃やしているが、近年はプラスチック製のお飾りや関係ないひな人形などの不燃物が持ち込まれるようになり、対応に苦慮している。少子高齢化で行事の存続も危ぶまれる中、移住者や子育て世代の住民らが協力し「海岸の環境保全に配慮しつつ、伝統行事を存続させたい」と奮闘している。

 「どんど焼き」を約1週間後に控えた7日、竹の支柱にだるまをくくりつけた全長10メートルを超える「ヤグラ」が海岸に立てられた。昔は子どもたちが行事の主役で点火などを行っていたが、1995年ごろから岩海岸どんど焼き実行委員会・岩道祖神保存会が中心となり、竹切りや柱立てなどの準備を担っているという。

 岩海岸での「どんど焼き」は海を背景に燃えさかる炎が圧巻で、2020年11月に町重要伝統文化行事に指定された。加藤好一会長は「子どもたちに引き継いでいけたらと思い、行事情報をウェブサイトに上げている」と力を込める。

 当日燃やす正月飾りは道祖神前などに集められ、4日ごろから回収を開始。例年軽トラック2台分ほどが集まりボランティアが仕分けするが、海岸へ直接持ち込む町民も多いという。

 「正月飾りだけでなく、古いひな人形や印鑑、財布まである。プラスチックのお飾りや針金、鈴などの燃えないごみも混ざっている」と厳しい表情で話すのは、昨年から準備に携わっている一般社団法人「真鶴未来塾」代表理事の玉田麻里さん(45)。「ニッパーを使って小さな金属を外すようにしていたが、想像以上に大変で気が遠くなる作業だった」と明かす。

© 株式会社神奈川新聞社