大分トリニータ CROと選手の二刀流に挑戦する松本怜 【大分県】

やはり、この男はサッカーボールを追う姿が似合う―。昨季、大分トリニータで契約満了となり、クラブ・リレーションズ・オフィサー(CRO)としてフロント入りした松本怜。CROは、スポンサー、パートナー、サポーター、行政機関や地域などのさまざまなステークホルダーとクラブをつなぐ役割。フロント業務に比重を置き、ビジネス面でクラブをサポートする。さらに、松本は職務をこなしながら、選手として、九州リーグに参戦するジェイリースFCでプレーする。「大分を盛り上げたい。トリニータのスタッフとしてできることもあるが、まだまだ選手としてできることがある」と「二刀流」を選んだ。

ジェイリースFCの始動日となった10日に、練習場となった大分市の西部スポーツ交流広場に現れた。ランニングやボール回しでは、かつて大分でプレーした小手川宏基の働き掛けで、チームの輪に加わり、笑顔を見せながらボールを蹴っていた。これまでのように専用の練習場やクラブハウスがない環境となったが、松本は「Jリーグのクラブがどれだけ恵まれているか再認識した。大学の頃に戻ったようなもの。まずはコンディションを戻し、4月の開幕に備えたい」とサッカーができる喜びをかみ締めていた。

ジェイリースFCの一員としてプレーする松本怜

昨年、九州リーグ4位に終わったジェイリースFCは、リーグ優勝とその先にあるJFL昇格を目指す。今季は、松本らJリーグ経験者など即戦力を積極補強し、盤石な体制を整えた。永芳卓磨監督は「昨季は不本意な結果となったが、今季は九州リーグを圧倒して制し、全国地域リーグを勝ち上がってJFL昇格を決めたい」と話す。松本に対しては「戦力としてチームの勝利に貢献してほしいし、これまでの経験を若い選手に伝えてほしい」と期待する。

初練習を終えた松本は、「チームの雰囲気はいい。これからコミュニケーションを取って、各選手の特徴をつかみたい。トリニータではJ2とJ1の昇格を味わった。今度は、初めての挑戦となるJFL昇格を果たしたい」と語った。「昇格請負人」として、新たな勲章を手にすることに意欲的だ。「もちろんCROとしての仕事もしっかりこなしたい」と、練習着からスーツに着替え、出社した。

選手としての喜びを感じながら練習に参加した

(柚野真也)

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