核燃料の中間貯蔵施設の県外移設地に言及なし 関西電力・森望社長が福井県知事と懇談 提示期限まで1年

杉本達治知事(手前)に中間貯蔵施設の県外計画地点の確定に向けた状況などを説明する関西電力の森望社長(左)=1月12日、福井県庁

 関西電力の森望社長が1月12日、新年あいさつで福井県庁を訪れ、杉本達治知事と懇談した。2023年末を期限としている原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外計画地点提示に関しては「あらゆる可能性を追求し全力を尽くしている」と述べるにとどまり、進捗(しんちょく)への具体的な言及はなかった。杉本知事は「確定した計画地点を示してもらえなかったことは残念。国との連携もしっかりと進めながら結論を出してほしい」と求めた。

 関電はこれまで、県外計画地点の表明に向け自ら設定した「18年」「20年を念頭にできるだけ早い時期」という2度の期限を延期した。今年末までとした3度目の約束を履行できなかった場合、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は計画地点確定まで運転しない方針を県に示している。

⇒2022年7月には「不退転の覚悟で取り組む」

 森社長は「国や電気事業連合会と連携し、トップレベルの面談を重ね、関係先のキーパーソンに働きかけを行っている」とした上で「当社の最重要課題の一つ。私自身が先頭に立って結実させ、期限までに計画地点を確定できるように不退転の覚悟でしっかり取り組む」と述べた。

 杉本知事は「(期限まで)1年あるという考えではおぼつかない。年末まで引っ張ると物事が進まない。最も大切なことは事業者と立地地域の信頼関係。その基本は一つ一つの約束を守ること」とした。関電など大手電力4社が互いに顧客獲得を制限したとされるカルテル疑惑や、新電力顧客情報の不正閲覧問題には「大変落胆している。社内の風土を変えてほしい」とコンプライアンス(法令順守)の徹底を求めた。

 懇談後、候補地の絞り込みや地域との調整状況を報道陣から問われた森社長は「具体的な取り組み内容は差し控える」と述べ、青森県むつ市に立地する中間貯蔵施設を電力各社で共同利用する案についても「現在(計画地点の)対象になっているかどうかコメントは控えたい」とした。

 森社長は敦賀市役所も訪れ、渕上隆信市長と懇談した。市と関電が実証実験に取り組んでいる原発の電気を活用した水素製造について、渕上市長は「実証実験だけでなく、将来的にも続けていってもらえるとありがたい」と話した。

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