密漁摘発最多88件、コロナ禍前の2倍超 福井県の小浜海保管内 京都や大阪、滋賀…目立つ近畿圏からの犯行

愛知県の男性が密漁したサザエ=2022年7月、福井県小浜市田烏(小浜海上保安署提供)

 福井県の小浜海上保安署は、昨年1年間の密漁取り締まり結果を発表した。摘発はコロナ禍前の2019年の約2.3倍の88件56人となり、統計を取り始めた06年以降最多となった。コロナ禍で自粛していた海水浴場の開設が増えるなど、レジャー活動の活発化が主な要因とみられる。同署は「罪の意識が薄い人が後を絶たない」と警鐘を鳴らしている。

 小浜海保は若狭町の常神半島から高浜町の内浦半島までが管轄エリア。福井県内の昨年の密漁摘発は統計開始以降最多となる162件103人に上り、およそ半数が小浜海保管内で摘発された。

 内訳をみると県内2人、県外54人と9割超を県外客が占めている。年代は20~80代と幅広く、地域別では京都が最多22人。大阪12人、滋賀9人、奈良7人と続き、嶺南地域にアクセスしやすい近畿圏が目立つ。

 種別ではサザエ1458個、カキ115個、アワビ32個、ワカメ37.65キロなど。人目につかない岩場や岸壁で素潜りを行い、採取した海産物をその場で食べたり、自宅に持って帰ったりするケースが多かった。

 密漁が増えた要因として、梅雨明けが例年より約1カ月早く気温の高い日が続いたことや、コロナ禍の行動制限が緩和され海水浴客が増えたことが挙げられる。屋外で密を避けられるマリンレジャーの需要が高まっていることもあり、密漁をレジャー感覚で行う人が増えているという。

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 同署員や地元漁師らによるパトロールも頻繁に行われているが、管内を終日監視するのは難しいという。ある漁業関係者は「密漁には目を光らせているが、人目のつきにくい場所や夜中の時間帯まですべてをカバーすることはできない」と対応の難しさを口にする。

 同署は海水浴場が閉鎖した秋以降も摘発を継続。「実際の密漁は検挙件数の2~3倍以上あるのではないか。漁業資源を守るためにも、地元住民らと連携して取り締まりを強化していきたい」と話している。

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