畳を破ってわらをこすり付け 奇祭「畳破り」で無病息災 諫早・楠公神社

わらをこすり付け合う氏子=諫早市、楠公神社

 上半身裸の男たちが畳を破って互いにわらをこすり付け合い、豊作や無病息災などを祈願する奇祭「楠公(なんこう)祭(畳破り)」が15日、長崎県諫早市白浜町の楠公神社であった。コロナ禍により開催は3年ぶり。
 南北朝時代の武将、楠木正成などを祭った同神社で250年以上続く伝統行事。同町自治会の酉越和則会長(68)によると、楠木正成が籠城し、鎌倉幕府軍を迎え打った「千早城の戦い」(1333年)を再現しているとされるが、起源はよくわかっていない。
 40~60歳代の氏子約20人が参加。神事の後、1枚の畳を盾に社殿に立てこもる楠木側と、わらを持ち参道を駆け上がった幕府側が、雄たけびをあげて激しくぶつかりあい、転げながらわらをこすり付け合った。社殿内は引きちぎられた畳や、わらの粉じんが舞い上がり、熱気に包まれた。
 幕府側で参加した同町の早田銑市さん(54)は「準備などで普段あまり会えない人とも話せるので、地域とのつながりを実感できる大切な機会。祭りの再開はとてもうれしい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社