「問題解決」を大学で学び、家庭でも生かす/ 北九州市立大学大学院留学生 グエン・ヴァン・ズイさん

西日本新聞社北九州本社が制作するラジオ番組「ファンファン北九州」。地元新聞社ならではのディープな情報&北九州の魅力を紹介しています。ラジオを聞き逃した人のために、放送された番組の内容を『北九州ノコト』で振り返ります。

環境システム専攻を選んだ理由

甲木:おはようございます。西日本新聞社 ナビゲーターの甲木正子です。

梁:同じく、西日本新聞社の梁京燮です。

甲木:梁さん、この前のゲストの松下さんのベトナムへのボランティア活動、凄かったですね。

梁:ベトナム愛が、半端無かったですね。

甲木:実は今日のゲストは、ベトナムの方なんですよ。では、早速本日のゲストを呼びしましょう。北九州市立大学の大学院で勉強しているベトナム人留学生、グエン・ヴァン・ズイさんです。よろしくお願いします。

梁:よろしくお願いします。

ズイ:よろしくお願いします。

甲木:ズイさんは今、北九州市立大学の大学院に在学中ということですが、何を専攻されていますか?

ズイ:国際環境工学部研究科の環境システム専攻で、博士の3年目です。

甲木:今、28歳ですけども、すごく長く勉強されていますね。

ズイ:ベトナムでは、大学に通学していた期間は5年半でした。

梁:ベトナムでも、環境システムの勉強されていたんですか?

ズイ:はい、そうです。

甲木:具体的に、どのような勉強されていたんでしょうか。

ズイ:大気汚染についての研究をしていました。

甲木:それはベトナムでも大気汚染がひどくなっているということでしょうか?

ズイ:そうですね。経済発展の影響でひどくなっています。

甲木:北九州市立大学では、大気汚染の解決のために勉強されているということなんですね。

ズイ:そうですね。それが大学院で勉強するきっかけになりました。70年ぐらい前、北九州も大気汚染がひどい時があったようで、現在のベトナムはその時の北九州と同じような状況なんです。それで北九州にはたくさん学ぶところがあると思いました。

甲木:具体的には、どのような研究をされていらっしゃるんでしょうか?

ズイ:ベトナムにおける、大気中のアンモニアを研究しています。ベトナムのプロジェクトで、大気中のアンモニアをサンプリングして、日本に戻ってきて化学分析をします。その結果が分かれば、ベトナムの大気汚染の状況が分かるんです。

甲木:そうなんですね。何が原因で大気中にアンモニアができているかを研究されているんですね。

ズイ:そうですね。

日本での就職

甲木:日本で勉強して、良かったと思うところはどういうところですか?

ズイ:いろいろな研究をした中でも問題を解決する考え方で、一つ問題があれば何が原因でどうしたら乗り越えられる事ができるかと言うところで、それが研究以外の普段の生活や家族の中でも生かすことができます。

甲木:そうなんですね。ところで就職が決まったそうですがこれは予定より早く大学院を卒業することになるんですか?

ズイ:大学院は来年の4月に卒業する予定ですが、10月から東京で仕事を始めます。それで4月までは東京で仕事をしながら、大学院には通うようにしています。

甲木:どのような会社に就職されたんでしょうか。

ズイ:IT企業で「FPTソフトウェアジャパン」と言いまして、ベースはベトナムの会社です。ベトナムではIT企業としては一番大きな会社です。

甲木:IT企業となると、ズイさんの研究とは違う分野になりますね。

ズイ:この質問が一番難しいところですが、私が勉強したことは環境工学ですけども、なぜITかと言いますと、大学院ではデータ分析をしていましたので、その技術を生かしたいと思いまして、この会社を選び合格することができました。

甲木:そうなんですね。おめでとうございます。

梁:おめでとうございます。一つお聞きしたいことがありますが、「FPTソフトウェアジャパン」で仕事をされた後はまたベトナムに戻って大気汚染とかの社会貢献などをしたいと思っていらっしゃるんでしょうか。

ズイ:いい質問ありがとうございます。将来の夢は考えています。どうやって環境保護とITを合わせるなどですね。

家族との生活

甲木:ズイさんは、28歳でお若いんですけど、ご結婚されていてお子さんもいらっしゃるんですよね。

ズイ:ちょっと若すぎますよね(笑)

甲木:奥様とは大学で知り合ったんですか?

ズイ:そうですね。大学1年生の時に知り合いました。

甲木:今、奥様も北九州市立大学で研究していらっしゃるんですよね。

ズイ:そうです。この10月から修士2年生になります。

梁:同じ学部でしょうか。

ズイ:学部は違います。妻の方は洪水で出るゴミの管理関係の研究です。

甲木:そうなんですね。日本で勉強するって、凄いご夫婦ですよね。

ズイ:妻も凄く勉強しています。

甲木:お子さんを育てながら勉強するのは、ご夫婦にとって大変ではないですか。

ズイ:大変なところもありますが、楽しいですね。私と妻は鍋と蓋で、自分が鍋なら妻は蓋です。まだ蓋は小さいので妻にもいろいろ勉強してもらいました。

甲木:二人そろって成長すると言うことですね。素晴らしい考え方ですね。ところで夫婦で勉強するという事は、お金がかかるということになりますが、生活費はどうされているんですか?

ズイ:ロータリー奨学金を頂いておりまして。ほんとに感謝しています。

甲木:それ以外にも、アルバイトなどされていたんでしょ?

ズイ:そうですね。週末土日どちらかアルバイトをしていました。

甲木:お子さんが3歳と言われていましたけど、北九州で子育てをしてここが楽しかったということはありますか?

ズイ:そうですね。保育園の先生にはお世話になっています。ほんとに優しくてありがたいですね。

甲木:お子さんを連れて、どこか遊びに行かれましたか?

ズイ:そうですね。博士課程は忙しく週末もアルバイトをしているので、時間が無いから残念ながら旅行には行ってないんです。それで、子どもを保育園へ迎えに行った後、子どもと公園へ行って一緒に走ったりしています。公園には他のベトナム人の子どももいて、一緒に遊んだりしています。

甲木:北九州は公園の数も凄く多いんですよね。

ズイ:そうですね。子育てがしやすいまちと言われているので安心です。

梁:東京は一人で行かれるんですか?

ズイ:はい。取りあえず単身赴任です。

梁:寂しくなりますね。

ズイ:そうですね。寂しくなります。

甲木:交通費もかかるし、なかなか帰省できないですよね。

ズイ:そうですね。月に1回は帰るようにはしたいと思っています。

甲木:残された奥様も、一人で子育て大変ですよね。

ズイ:そう思います。でも3歳頃になると、自分でご飯を食べたり着替えたりお話をしたりできるようになり、妻も強い人なので大丈夫だと思います。

甲木:ところで、コロナになってベトナムへは帰ってないんですよね。

ズイ:そうです。3年間は帰っていないんですよね。今度のお正月に久しぶりに帰ろうと思います。そして子どもを親に数か月預けて、ベトナム語やベトナムの文化など勉強してほしいです。

将来の夢は?

甲木:お子さんも2つの国で育つといろんな文化を身に付けられていいですね。梁さんが少し聞いていましたけど、ズイさんの将来の夢は何でしょうか。

ズイ:そうですね。私が最初から思っていた事は、社会貢献をする事です。環境保護に興味を持っていたので環境問題の解決です。将来は自分の会社を作りたいと思っています。

梁:今から大きなIT企業で仕事をしていくので、いろんな新しい出会いがあると思いますよ。甲木さん、これは凄く大きな鍋ができますね。

甲木:そうですね。凄く楽しみですね。

ズイ:ありがとうございます。頑張ります。

甲木:本日もお時間が来てしまいました。本日は北九州市立大学・大学院のベトナム人留学生、グエン・ヴァン・ズイさんにお話を伺いました。ズイさんありがとうございました。

梁: ありがとうございました。

ズイ:ありがとうございました。

〇ゲスト:グエン・ヴァン・ズイさん(北九州市立大学 大学院 ベトナム人留学生)

〇出演:甲木正子(西日本新聞社北九州本社)、梁京燮(同)

(西日本新聞北九州本社)

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