横浜の川清掃、黙々と7年 ボランティアの70代男性「きれいになった川で渡り鳥見たい」

帷子川でごみを拾う高橋さん=横浜市旭区(本人提供)

 千里の道も一歩から─。約7年間にわたって、地元の帷子川や中堀川で一人黙々と清掃活動に取り組んできた。月2回のボランティアに励む高橋隆昌さん(71)=横浜市旭区=は「きれいになった川に、渡り鳥が止まりに来るところを見たいんだ」と無邪気に笑った。

 昨年12月の週末、帷子川に高橋さんの姿があった。手袋をはめた右手で、ビニール袋やペットボトルを次々とごみ袋に入れていく。この日は事前に回覧板のチラシで募集した地域住民が7人も参加した。45リットルの袋で26個分のごみを集めた。

 定年退職後の2015年ごろに趣味で海釣りを始めた高橋さん。釣り上げた魚を間近で見た瞬間、「目の美しさに感動した」。この喜びや環境を後世に残したいという使命感が芽生えた。

 同時期から1人で月に2回ほど、1日2時間半ほどかけて地元周辺の川のごみ拾いに励む生活をスタートさせた。日時を決めずに自由なタイミングで行うのが継続する秘訣(ひけつ)だ。「『今日は川にいる生物を見てみよう』とか、毎回楽しみを見つけるんだ」

 不法投棄など河川のごみ問題はなかなか解決しないが、現状を正しく理解してもらうために中学校での講演活動にも力を注ぐ。「過剰に物を買い、捨てる文化も変える必要がある」

 自身の活動を周知することで、地域の子どもからお年寄りまで清掃が広がってほしいとも願っている。「これは僕のライフワーク。死ぬまでやりますよ」

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